「目が覚めたら飲む、というほどの酒好き」 佐賀関の大火災、火元とされる独居男性の素顔 「気前が良く、慕われていた」

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「漁師仲間から慕われていた」

 Aさんの出身は、今回延焼したエリアから数百メートル離れた「迫地区」である。ある漁師によれば、

「Aさんは祖父の代から3代続く漁師の家系。地元の中学を出て漁師になり、若い頃は大型船に乗って遠洋漁業に従事していました。その後、関アジなどを取るようになったのです」

 とのことで、

「お父さんは面倒見の良い人で漁師仲間から慕われ、その息子のAさんも先輩の漁師たちにかわいがられてきました。20年ほど前でしたか、持っていた船が故障してしまい、引退する先輩から船を売ってもらっていました。当時の相場では10年落ちでも400万~500万円は下らなかったのに、Aさんは100万円という破格の値段で手に入れていましたね」(同)

「目が覚めたら飲む、という感じ」

 家庭では妻との間に1男1女がいたといい、

「娘さんは看護師の仕事に就いていると聞いています。ただ息子さんとは折り合いが悪く、Aさんも『どこでどうしようが知るもんか』などと言い放っていたことがあります」

 中学の同級生は、そう話す。長らく住んだ迫地区の実家も、

「台風で屋根の瓦が剥がれてしまい、もう住めないというので、漁の仲間何人かが手伝って家を取り壊した。それで神山地区の借家へと移っていったのです」(同)

 カサゴやトラフグが取れると周囲に「持っていけ」と分け与える気前の良さもあったといい、その一方で、

「漁師の飲み会では、缶ビールを1本飲み切ると『俺は焼酎じゃないといかん』と、いつも焼酎を飲んでいました。普段は人当たりが悪くないのですが、周りと意見が食い違った時は絶対に折れず、おかしいと思ったことはそのまま口に出してしまう人でした」(前出の漁師)

 さらに続けて、

「漁師の中には出漁前に景気づけで一杯やっていく人もいますが、Aさんは早く仕事を終えて家でじっくり酒を楽しみたいタイプ。漁のない時は朝でも夜中でも、目が覚めたら飲む、という感じでした。仲間内でのトラブルは聞いたことはありませんが、あるいは自宅では家族と衝突していたのかもしれません」

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