要介護の義母を引き取り、言いなりで世話を続ける妻… “がんばり屋”だと思っていた彼女の恐ろしすぎる真実
50歳を迎えて箍がゆるんだ
その後も顔を合わせると、お風呂に入りたいと言われた。そして酔った勢いもあって、1度だけコトに及んでしまった。その結果の妊娠だった。もしかしたら彼の子ではないのかもしれない。だが彼はそのときにはすでに彼女に「恋」をしていたのだという。
「僕、仕事一筋でがんばってきたけど、50歳を迎えて急に箍がゆるんだというか、自分にはいったい何があるんだろうと思い始めたところだったんです。子どもたちもいつの間にか大きくなっていたし、妻は仕事に子育てに家事にとスーパーウーマンみたいにがんばる人だったし……。妻がやって当然だと言いながら、長年、そういう何でもできる妻を見ていたら、知らず知らずのうちに心がいじけていったような気がします」
彼はもしかしたら、家庭に入り込めなかったのかもしれない。上から目線で、家庭は妻に任せると言ったものの、実際にはそれ以上に妻が「できる人」だった。それゆえに心が少し家庭から離れ、家族に対して客観的な目しかもてなくなった。彼自身もどこまで自覚しているかわからないが、年月を経るごとにそんな気持ちになっていた可能性もある。
だからといって20歳の子に恋をするのも、唐突な話ではある。彼にとって対等な立場の妻より、20歳の女性のほうが御しやすいと思ったのか、あるいは彼が感じる彼女の純粋さに惹かれたのか。
「あっさり彼女が去っていったのがつらくて、その後、立ち直るのに時間がかかりました。自分でも思った以上に彼女を必要としていたんでしょうね」
義母との同居が始まって…
それでも日常は淡々と過ぎていく。妻の父が亡くなり、病気がちになった母親を引き取りたいと言われたのは3年ほど前のことだ。
ちょうど息子がひとり暮らしをしたいと家を出ていったばかりで、片づければ一部屋あきがあった。だが良輔さんはあまり気が進まなかった。
「僕は自分の親と今さら同居もしたくなかった。妻の親はしょせん他人ですからね。これから介護が必要になったらどうするのかと聞いたら、妻は仕事をやめてめんどうを見ると。子どもたちのためにも仕事を辞めなかったのに、親のためには辞めるのかと思わず言ってしまいました。なんだかそれは違うという気がしてならなかった」
だが優佳さんは頑なだった。どうしても自分が母のめんどうをみると言って聞かなかった。近くのワンルームマンションで暮らしてもらったほうがいいのではないか、そのほうが介護サービスもより充実したものが使えるらしいよと言ったが、妻は聞き入れなかった。
「義母をひきとって、最初はごく普通に暮らしていたんですが、友だちもいないし、昼間はひとりになってしまうし、やはり義母にとって楽しい生活ではなかったんでしょう。自宅で転んで骨折、入院、手術、転院となり、そのまま施設に行ってもらおうと思っていたら、優佳はまた引き取ると……。そのタイミングで優佳は仕事を辞めました。あんなに情熱をもってやってきた仕事なのに、あっさり辞めたのが意外でしたね。そこまで母親に執着する理由がわからなかった。それまでそんなに母親に依存しているようには思えなかったから」
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