「景気悪化で強気に戦える状態にない」 中国が対日姿勢をトーンダウンさせる理由 「圧力はブーメランのように跳ね返り…」

国際 中国

  • ブックマーク

戦っている場合ではない

「高市首相と習主席は10月31日に初めて会談を行い、関係はそこまで悪くない様子でした。ところがその直後に台湾について発言があった以上、国のメンツのために激しく言い返さなければならなくなった。今後、日本側が冷静、穏便に接していくのであれば、中国もこれ以上事を荒立てないはずです。言及されたレアアースの輸出規制なども、今の流れが続くのであれば、わざわざ実行する可能性は低いと思います」

 習主席は自身を支えてきた軍幹部たちを粛正したばかりだったのも、台湾問題に強く反応した原因の一つかもしれない。中国は日本への観光自粛も呼びかけており、来日する中国人も減っているという。

「観光に関してネット投稿を見ると、今も国を挙げて“日本に行くな運動”とでもいうようなキャンペーンが行われています。そのため新たに日本旅行を計画する人はほぼゼロの状態だと言えます。この流れだと、年が明けて春節(旧正月)ぐらいまでは個人旅行も相当減ると覚悟した方がいいでしょう」

 もっとも日本への圧力はブーメランのように中国に跳ね返ってくると言う。

「日本にやってくる中国人は、中国人の民泊に泊まり、中国人の白タクに乗り、中国人の経営するレストランで食事をします。しかも中国のモバイル決済を使うので日本円を使いません。日本観光の自粛は、日本経済のみならず、日本に来る中国人を相手にしている在日中国人たちをも困らせているのです」

 もちろん中国国内にも影響がある。

「中国の航空会社は大量のキャンセル(数十万件単位)で大きな損失を被っています。海産物の輸入停止や日本映画の上映禁止などの措置によって、中国側の経済も同様に冷え込んでいくことになります」

 民間の経済活動を政府の意思で強制的に止めてしまえるのが中国の中国たる所以でもある。もっとも、すでに不動産バブルが崩壊したとも言われている。

「タダでさえ景気が悪い中国は強気に戦い続けられる状態ではないのです」

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 3 次へ

[3/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。