「景気悪化で強気に戦える状態にない」 中国が対日姿勢をトーンダウンさせる理由 「圧力はブーメランのように跳ね返り…」
中国の“ピンクちゃん”
「中国メディアや中国政府高官も沖縄問題や国連の敵国条項に言及するようになりましたが、これらは日本に対する嫌がらせ、仕返しだとみています。幼稚にも思えますが、同じことを言い返してやりたいという心理からのものでしょう」
それに対するコメント欄も荒れ放題だ。
「中国のSNSも同様ですが、ネットと現実の間にはかなり温度差があるのは日本と一緒です。現実世界に生きている人は『また中国と日本がもめているよ』と呆れ、自体を冷静に見ている人のほうが多いそうです。ネットで過激に日本を批判している中国人の大半は、日本に行ったことも行く予定もなく、日本に関わったこともないでしょう。現実生活が余り上手くいってなく、憂さ晴らし的に日本への不満を発散しているのだと思います」
日本で言う“ネトウヨ”と共通点がありそうな気もするが。
「中国では愛国心の強いネット上の人たちを“小粉紅(シャオフェンホン)”、日本語で言うと“ピンクちゃん”と呼んでいます。もっとも、それも当初と比べると少しトーンダウンしている印象です。中国の検索エンジン“百度(バイドゥ)”のトップページを見ても、日本の話題が並んでいますが、『日本の世論は上野動物園にパンダが来ることを望んでいる』とか『高市は中国との対話を望んでいる』など、日本が低姿勢であることを印象づける見出しが並んでいるのです」
発言当初と比べ、風向きは少々変わってきているようだ。
本当の相手はアメリカ
「北京に行った外務省の金井正彰アジア大洋州局長に対し、両手をポケットに突っ込んだまま応対した中国側の外交官の写真が話題になりました。それが中国人の溜飲を下げるような状況を作った可能性もありますが、中国側もほどほどのところで収めるべきだという意識があるのでしょう。本件を報じた中国メディアの記事に出てくる中国の研究者の発言を見ても、中国側は表向きは高市首相に発言の撤回を求めてはいるものの、実際のところ撤回させるのは難しいという認識もしている。その代わり徐々に発言をトーンダウンさせていく可能性があるという見方が示されています」
2012年の尖閣諸島国有化の際は、日中双方が引かず長引いた。
「今回は日本側が冷静な対応をしています。日本は言うべきことを言いつつ、《汚い首は斬ってやるしかない》とXで暴言を吐いた中国総領事に対しても、国外追放するような強力な措置は取らず、ある程度穏便に収めようとしています」
日本では関係修復に4~5年かかると報じたメディアもある。
「それは中国だって望んでいないはず。米トランプ大統領との関税問題をはじめ、中国はアメリカへの対応に力を注ぐ必要があります。日本とケンカするよりも敵に回さず安定させておきたいというのが本音でしょう」
もっとも中国は輸入再開したばかりの日本の海産物を再び停止した。
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