なぜフジは大晦日に「新しいカギ」をぶつけるのか? 不祥事に揺れる局が“再生”を託した異例の編成の狙い
3本続けて生放送
フジテレビが今年の12月31日に「新しいカギ」の特番を3本続けて生放送することを発表した。18~19時には「新しいカギ カギダンススタジアム 直前スペシャル」、19~22時には「新しいカギ カギダンススタジアム 日本一たのしいダンス決定戦」、22時から24時45分には「新しいカギ 年またぎスペシャル」が放送される。【ラリー遠田/お笑い評論家】
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これは異例の編成であり、かつてのように豪華キャストを揃えたバラエティ番組を作る余裕が失われつつある今のフジテレビにとって、一種の勝負手と言える判断である。ここには中居正広騒動に端を発する一連の不祥事によって信頼を揺るがした同局の内部事情と、番組としての「新しいカギ」が持つ特性が深く関係している。
不祥事でスポンサーや視聴者からの信頼を失ったフジテレビがいま求めているのは「健全な番組」である。一昔前までは、視聴者はフジテレビに対して「楽しくなければテレビじゃない」というスローガンに象徴されるような、軽妙で華やかなイメージを抱いていた。
しかし、近年では視聴率も伸び悩んでおり、明るい雰囲気が妙に空回りしたものに見えたりして、テレビ業界の古い体質を象徴する局として扱われることが増えていた。そんな悪いイメージを決定づけたのが今回の騒動だった。そんなネガティブな印象を払拭するためには、炎上リスクが低く、安心して家族で見られるバラエティ番組が必要とされていた。
「新しいカギ」はまさにその条件を満たしている。チョコレートプラネット、霜降り明星、ハナコという、現在のテレビバラエティにおいて安定した人気と実力を持つ若手・中堅芸人が中心となり、明るく爽やかな笑いを提供する番組である。一般の子供たちを主役にした視聴者参加型の企画が多く、若い世代を中心に熱狂的な支持を受けている。番組のつくりそのものが毒気や攻撃性を売りにしていないため、炎上リスクが低いのだ。
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