「ばけばけ」「じゃあつく」ヒットの背景 高石あかり、夏帆…なぜ今、コメディエンヌが時代を席巻するのか
間の取り方が絶妙
2027年度前期の朝ドラ「巡るスワン」は、長野県内の警察署の生活安全課を舞台とするヒューマンコメディ。ヒロインを演じる森田望智(29)も当然、コメディエンヌでもある。
Netflixが2024年に制作したアクションコメディ映画「シティハンター」ではヒロインに扮した。主演の鈴木亮平(42)が演じたお調子者の敏腕スイーパー(始末屋)の相棒役だった。
森田は主に鈴木のギャグの受け手だったが、自らボケをかますこともあった。たとえば、鈴木と敵のアジトに乗り込んだのはいいが、怯える。声を震わせながら「すみません、誰かいますか?」と呼び掛けた。
そして、すぐに「誰もいないみたいです」と決めつけたが、それは単なる願望。直後にマシンガンを手にした悪党がズラリと勢揃い。森田は凍り付いたものの、観る側はクスリとなった。
演技力の高い森田は、冒頭からラストまで間の取り方が絶妙だった。鈴木のギャグをしっかりと受け止めた。キャッチャー役が下手だと、ギャグが滑る。また、森田は幼いころから長くフィギュアスケートとクラシックバレエを習っていたせいか、やはり体の動きがいい。
森田は2019年、Netflixのドラマ「全裸監督」にヒロインとして出演すると、たちまち注目の人となる。それまで無名に近かったにもかかわらず、圧倒的な演技力を見せたからだ。
現役大学生からセクシー女優に転身する女性役だったが、女優を演じている間は別人。小難しい理屈を並べ立てて周囲を見下し、高笑いを浮かべた。
まるで1人2役。演技が相当うまくないと出来ない。さらに女優を演じている間の姿や言動は滑稽。1人だけコメディもやっているようなものだった。
森田は朝ドラ「虎に翼」(2024年度前期)ではヒロイン役・伊藤沙莉(31)の義姉に扮した。2人のコミカルなやり取りは愉快だった。2人は「全裸監督」でも共演している。伊藤は森田と気の合うメイク兼スタイリストの役だった。
共演が多いこともあり、2人は仕事を離れても仲が良い。伊藤もNHK「いいね!光源氏くん」シリーズ(2020年~)など数々のコメディに出演してきたということもあって、話が合うのかも知れない。
伊藤は9歳のとき、「サンリオダンスコンテスト」のキッズ部門で優勝している。子供の世界の有名ダンサーだった。当時の夢もダンサー。伊藤もやっぱり体の動きか機敏である。
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