「ばけばけ」「じゃあつく」ヒットの背景 高石あかり、夏帆…なぜ今、コメディエンヌが時代を席巻するのか
視聴者が笑いを求める
コメディエンヌの人気と評価が高まっている。10月に始まったドラマで話題をさらっているのも朝ドラことNHK連続テレビ小説の「ばけばけ」とTBS「じゃあ、あんたが作ってみろよ」。どちらもコメディ色が強い。世相が暗いためか、視聴者が笑いを求める思いが強くなっているようだ。【高堀冬彦/放送コラムニスト、ジャーナリスト】
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【写真】色気ムンムン…透け感のあるドレス姿の高石あかり、艶やかな着物姿の夏帆
コメディエンヌとはコメディも得意な女優。「ばけばけ」でヒロインのトキを演じているコメディエンヌ・高石あかり(22)はたった2か月弱で一躍人気者になった。高石はシリアスな演技もうまいが、コメディエンヌとしての力量には目を見張る。
以前から笑わせる才能は高かった。わがままな殺し屋に扮した初主演映画「ベイビーわるきゅーれ」(2021年)は抱腹絶倒すること請け合い。殺しの腕はいいのだが、いつも金欠で、喫茶店などでのアルバイトに追われている。だが、途中でキレてしまう。この設定を大マジメにこなしているだけでもおかしい。
この殺し屋も高石以外の女優が演じたら、笑えたかどうか分からない。「ばけばけ」のトキ役もそう。高石は間の取り方が抜群にうまい。一瞬の沈黙などである。コメディでもコントでも欠かせない技術だ。
表情を瞬時に変化させるのも得意。たとえば笑顔からムッツリ顔などへ自然に移行する。これもコメディエンヌの必須条件。さらにギャグには体を使うものが多いが、運動神経もいい。
高石のコメディエンヌの才能が発揮された場面はいくつもある。一例は第33回。トキはレフカダ・ヘブン(トミー・バストウ)の女中になっていた。ただし、家族が許してくれそうにないので、花田旅館で働くとウソをつく。
それを不審に思った父親の司之介(岡部たかし)はトキを尾行。時には動いている大八車の陰に身を潜めた。一方でトキも大八車に隠れながら小走りでヘブン宅へ。まるで忍者かドリフのコントだ。身のこなしが軽くないと、出来ない演技だった。
高石は17歳までダンスボーカルグループ予備軍の「α-X's(アクロス)」に所属していた。もともと体の動きが軽快だった。
コメディもシリアスもうまい満島ひかり(39)も10代のころにはダンスボーカルグループ「Folder」の一員だった。やはり声も体の動きもいい。
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