オモテで「高市内閣を生んだ以上は育てねばいかん」、ウラで「なんでわかんねえんだ」 麻生太郎のクールな視線

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決して楽観できない

 自民党の麻生太郎副総裁は19日、東京都内で開かれたセミナー講演し、高市早苗内閣の生みの親としての認識を改めて示した。全面的に政権を支持しているのは間違いないが、どこかで麻生氏の冷ややかな視線も感じられるという。

 麻生氏は「今、(日本維新の会との)連立政権を取り巻く環境は決して楽観できない」「こういった内閣を生んだ以上は育てねばいかんという決意を新たにしている」と述べた。

「生んだ」とは礼節を欠くと受け止められる可能性があるが、麻生氏にとっては通常運転のトークだろうし、経緯を見ればそう言いたくなるのも当然かもしれない。「親」を自認するまでの経緯を振り返ってみよう。

 麻生氏は高市氏が10月の総裁選で勝ち抜くにあたって主要な役割を演じたとされている。去年の総裁選に続いて高市氏の国民人気は高く、党員票も伸び、1回目の投票ではトップとなった。が、2位の小泉進次郎氏との決選投票では議員票が小泉氏に集まって逆転されるシナリオがささやかれていた。

麻生氏の指示

 決選投票では大方の予想通り「2位・3位連合」が組まれ、小泉氏と林芳正氏が協力した一方で、4位の小林鷹之氏、5位の茂木敏充氏が高市氏支持に回ったとされた。結果、高市氏は決選投票で議員票でも小泉氏を上回った。

「一連の仕掛けは党内で唯一の派閥を維持する麻生氏の指示でした。麻生氏は事前に“党員票で1位になった候補を支持する”との方針を示していました。それは高市氏だったわけですが、麻生派は総裁選時40人余の勢力で、自派閥だけでは大きな動きにつなげることはできません。そのため、小林氏(1回目の議員票:44票)と茂木氏(1回目の議員票:34票)に1回目の投票時点で両陣営に票を貸し出す代わりに、決選投票では両陣営に麻生氏が支持する高市氏への投票を促したわけです」(同)

 小林氏は政調会長、茂木氏は外相ポストに就き、決選投票での振舞い方が高市氏に“評価”されたとの見方がもっぱらだった。

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