“若者の車離れ”で志願者が激減…「自動車整備士」の過酷な実態 真夏でも“つなぎ着用”で“腕まくり禁止” 冬場は“猫”に要注意な理由

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 あらゆる職種、わけてもブルーカラーの現場において、なくてはならない存在なのが「自動車」だ。鉄道や飛行機、船など、輸送手段は数あれど、日本国内の輸送や運搬の9割を担っているのは自動車である。

 若者のクルマ離れが進んでいるとはいうものの、私たちの日常生活にクルマは欠かせない存在だ。特に地方に住んでいる人にとっては、クルマは生活の足。家族で複数台所有しているという人も少なくないはずだ。

 そんなクルマを修理するプロが「自動車整備士」だ。

 日本には現在8300万台のクルマが存在するとされているが、自動車整備士は33万人(うち約1万人が女性)。全くと言っていいほど足りていない状況にある。

 今回はそのなかでも、主にトラックを整備する整備士12名に話を聞いた。

国家資格

 一般にガソリン車は、約3万点の部品を1つ1つ組み立てて作られている。1つでも足りなかったり、少しでも不具合を起こしたりすれば、人命にかかわる大きな事故の原因になりかねない。自動車の性能が上がったことで、一部区間の高速道路においては、制限速度120キロで走行できる時代。自動車のメンテナンスはますます重要になっている。

 そんな「クルマのお医者さん」ともいえる自動車整備士になるには、国家資格が必要だ。国土交通省が実施している「自動車整備士技能検定試験」に合格しなければ、正式な「自動車整備士」とは認められない。この自動車整備士の資格は、一般的に自動車関係の専門学校等を卒業して取得するケースと、実務経験を積んで取得するケースがある。

 資格のレベルは3級から1級まであり、さらにそれぞれの級の中で細かく分かれている。1級が最高位で、2級以上になると整備工場が持てるようになる。また、この3段階とは別に「特殊整備士」という、タイヤ・電気装置・車体に特化した整備資格もある。

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