“若者の車離れ”で志願者が激減…「自動車整備士」の過酷な実態 真夏でも“つなぎ着用”で“腕まくり禁止” 冬場は“猫”に要注意な理由

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電気自動車

 現場の知識や技術のアップデートが必要になる要素の最たる例が、昨今増え始めているハイブリッド車やEV車(電気自動車)だ。数十年前に整備士になった人たちにとっては新しく身に付けなければならない情報や知識も少なくない。EV車の台頭は、現場の整備士にどんな影響を及ぼしているのだろうか。

「もちろん、現場のベテラン整備士たちも勉強はしているが、学校で最新の知識を学んで来たばかりの若者が工場にやって来ることは、やはり頼もしく思います」

「自分のような古い整備士は、お払い箱になって行くような気がします。足回り(タイヤ周辺)についての知識は生かせても、制御関係については、吸収能力の高い若手メカ(整備士)には、いつかついていけなくなる恐怖感も。手先を使っての修理よりも、部品のアッセンブリー交換が主体になり、チェンジニア(部品を交換するだけの職)ばかりの業界になるのでは……と正直、不安です」

 一方、電気自動車は部品が2万点。一般的なガソリン車より部品が少ないため「整備が楽」という声もある。ただ、EV車の場合、整備には細心の注意が必要になる。「感電」だ。

「電気自動車とかハイブリッドで大容量のバッテリーを積んでいる車は、整備中に不具合とか不慮の事故で感電して最悪死ぬこともあるのでね」

天候や気温との戦い

 もう1つ、整備士の人手不足の要因になっているのが、やはり「過酷な労働環境」だろう。今回聞いた整備士たちからは、とりわけ天候や気温に関する苦労を訴える声が多かった。

「整備工場では、排ガス対策などのために風通しをよくしていることが多い。しかし、夏は暑い……広い構内では、冷房が付いていてもほとんど機能していないに等しいです。大型の扇風機や冷風機を整備士たちのそばに設置するが、直接風が当たることは作業中の邪魔になることも」

「汗対策として首からタオルを巻くこともできません。ブルーカラーの世界では、機械に巻き込まれたりする恐れがあるため、禁止されていることがほとんどです」

 整備士特有の服装である「つなぎ」も夏場は非常に暑い。整備士は、ボタンやベルトなどで自動車にキズを付けたりしないようにするため、上下が繋がった作業服を着ているが、いかんせん通気性が悪いのだ。

 さらに、現場ではこんな禁止事項も。

「作業中、腕まくりが禁止の現場が多いです。まくった袖の中に部品の一部が入ったり、引っかかって怪我をしたりする恐れがあるので」

 出張して整備・点検などをする際は、自社の整備工場のような設備がないため、“青空の下”で点検・修理することも。

「出張先では車を上げられないため、クルマの下を確認する際は、地面に直接寝っ転がらないといけないことがあるんですが、お客さんの敷地や道路には、砂利だったり雨が降ったあとの水たまりがあったりする。毎度びしょびしょ、傷だらけになります」

「雪国の青空点検はまず雪かきから始めないといけない。そして必ず背中がびしゃびしゃになる」

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