“若者の車離れ”で志願者が激減…「自動車整備士」の過酷な実態 真夏でも“つなぎ着用”で“腕まくり禁止” 冬場は“猫”に要注意な理由
整備士の安全意識と職業病
現役の自動車整備士たちに話を聞くと、クルマに対する高い安全意識をもち、整備をする際も、安全第一に進めているのがよく分かる。
「手持ち工具、共用工具ともに、使用後の清掃や片付けを徹底するようにしています。無断で人の工具を使用することも禁止。あとは、自分の存在アピール。声を出して『今、ここで自分は作業してます』というアピールをし、周囲に知らせるようにしています」
「リフトを操作する時は『上げます! 下ろします!』、ハンマーを使用する時は『叩きます!』、エンジンを始動する時は『エンジン掛けます!』ハンドルを操作する時は『ハンドル切ります!』と、周囲に危険を知らせるため大声で叫んでいます」
「整備ではミスを防ぐためマーカーペンを色分けしてセルフチェックするうえ、他者にもダブルチェックをしてもらいます」
職業病にはどんなことがあるかと問うと、これらの答えが返ってきた。
「トラックのエンジン音はもちろん、スターターモーター音でメーカーや車種が分かる」
「どんな異音がするかで故障している場所を予測できます」
「家電が壊れてもバラして直しますね(笑)」
人手不足の低賃金
プロ意識の高い整備士だが、先述通り、自動車の性能が上がり、制限速度が上がれば、その分、整備する側もその潮流に併せて対応をしなければならない。つまり、自動車整備士には、多くのブルーカラーの現場では職人の最大の武器となる「経験」だけでなく、最新の技術や知識を身に着け続ける必要があるのだ。
こうした点から、学校を出たばかり、または資格を取得したばかりの若手が活躍しやすい場であり、整備工場からしても彼らの獲得は現場のアップデートのためにも必須になる。しかし、整備業界も例に漏れず人手不足が深刻化しており、自動車整備専門学校の入学者数は、過去18年で約47%減少している。
「『若者のクルマ離れ』によって、整備士になりたいと思う若者も本当に少なくなったと思います。これからどんどん整備士が少なくなり、この業界はどなるのか不安しかありません」
その大きな原因になっているのが「低賃金」だ。整備士も他のブルーカラー同様、給料が全産業と比べると安いと言われている。
「整備士って、世間が思っているより大変で、責任が重い仕事なんですよね。まさに、人の命を工具1本で守っている、クルマのお医者さん。なので人間を見るお医者さんと同じくらいの給料ください! って国に言ってやりたいです」
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