なぜ「はじめてのおつかい」が嫌われるのか 高齢化社会で“定番ネタ”が通用しない長寿番組の現実

エンタメ 芸能

  • ブックマーク

 放送開始50周年を迎えた番組「くいしん坊!万才」が22日、最終回を迎えた。

 これを受け、デイリー新潮では男女300人に「もうそろそろ終わってほしい長寿番組」をテーマにしたアンケート調査を実施。その詳細は【「くいしん坊」は本日終了、「アッコ」も来年3月…意外?納得?“終わってほしい長寿番組”で挙がる名前】を参照いただきたいが、芸能ジャーナリストでテレビ番組にも詳しい宝泉薫さんには、名前の挙がった番組の中に、とくに注目するものがあるという――。

 ***

「長寿番組は終わり方も大事。最終回スペシャルが土曜の昼……見られなくなって終わるのは晩節を汚した感がある。25年目くらいまでは帯番組だった「くいしん坊!万歳」(フジテレビ系、11月22日をもって終了)は好きだっただけに、残念です」(宝泉さん、以下同)

 帯が終わるタイミングで終了しておけば、梅宮辰夫ら歴代リポーターを集合させ、華々しいラストを飾れたのでは……と宝泉さん。そんな「くいしん坊~」とは別に、今回のランキングの中で、宝泉さんが注目する番組名があった。

「やっと『はじめてのおつかい』(日本テレビ系)に“終わってほしい”という声が表面に出てきました。長年、あのノリが苦手だという声もあったので少し納得です」

最強コンテンツ「子どもと動物」はいま

 宝泉さんのいう「はじめてのおつかい」は「終わってほしい5位」にランクイン。1991年にスタート、泣ける感動系番組として知られているが、コンプライアンスが厳しい近年では「子供をひとりでおつかいに行かせるなんて危険」「虐待では」といった声も噴出し、たびたび話題に。今回のアンケートでもそこが浮き彫りとなったが……。

「コンプラ問題うんぬんでなく、あの“みんな好きでしょ”“泣けるでしょ”という空気感が苦手という人も多かった。あれで泣かない人は人でなしとされる風潮もあったので、アンチがいたとしても可視化されづらい。またそういうところを狙っている感もありました」

 昔からテレビ業界では“動物と子どもには勝てない”という言葉があるが、アンケート結果を見ると、最近はだいぶその状況も変わってきているのでは、と宝泉さん。

「まず少子高齢化で、単純に子どもが少ない。子ども目線で感情移入しようにも子どもの数が少ない……さらに言うと親も少ないんです。“親目線で番組を感動的に見られる人”がすでに少数派になってしまった令和のいま、もう昔の手法が通用しない番組になってしまったのでは」

 子どもの声がうるさいからと、騒音問題で保育施設の建設が決まらないような話はザラに聞く。子なし世帯の目を気にして、年賀状に子どもの写真を載せることさえはばかられる世の中だ。番組でしばしば登場する、“子どもを見守るあたたかいご近所の目”などもいまや消滅寸前だろう。近隣住民がヘタに関わっても、今度は親がモンスターペアレントだったりと恐ろしい……。

「そういった、大人が子どもを見守る番組の構図がもう破綻しているんですよね。それに加えて、ポケモンカードの転売ヤーのように“子どものための産業に大人が介在する嫌な感じ”があり、子どもそのものを見世物的にビジネスにしている印象を覚えてしまう。かつて最強と言われた子どもコンテンツはもう厳しいものになってきています」

 一方、もうひとつのキラーコンテンツは健在。

「“動物もの”は今でも強い。相葉雅紀や坂上忍がMCを務める番組、NHKの『ダーウィンが来た』といった番組は、とくに年配の人なんかも大好きですよね。サバンナなど海外の野生動物ものにも憧れを持つ世代ではないでしょうか」

次ページ:高齢MCばかり見たくない

前へ 1 2 次へ

[1/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。