「当たり前のことを言っただけ」 “殺人予告”までされた「高市発言」は本当に問題なのか? 新聞やテレビが報じない識者の“本音
本当に“失言”なのか
だが、本当に「高市発言」は、外交問題に発展して撤回を求められるほどの“失言”なのだろうか。
かつて安倍・菅両政権で国家安全保障局長を務めていた北村滋氏に聞くと、
「基本的には従来の政府見解から外れていませんし、法的解釈として間違っていない以上、高市総理も発言撤回はしないでしょう。仮にそうしたら、おかしな話になってしまいます」
実際、北村氏のみならず歴代政権で安全保障や外交の中枢に携わった人々は、新聞やテレビが大々的に報じない“本音”を口にする。
「存立危機事態の答弁については、高市総理は誰もが考えていた当たり前のことを普通に言っただけ。問題だと憤る指摘がありますが、全く理解できません」
と話すのは、外務省時代に外務事務次官、駐米大使を歴任した杉山晋輔氏。
「『存立危機事態』とは、国際法上の集団的自衛権を行使する事態のことです。日本が武力攻撃をされているわけではないけれど、わが国と密接な関係にある他国が攻撃されることで、日本の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される。そうした明白な危険がある場合に限り、自らはやられていなくても助けていいというもの。これを日本は国内法で規定しています」(同)
杉山氏が外務審議官だった2015年、安倍政権下で成立した安保法制で、初めて盛り込まれた概念だった。
「その当時、国会の法案審議でも具体的にどのような事態を指すのかは随分と議論になりましたが、政府は『事態を総合的かつ客観的に判断する』と答弁するだけにとどめていました。ところが、高市さんは首相として初めて公式の場で台湾有事を例に答弁した。そのことが批判されていますが、役人が書いた木で鼻をくくったような答弁、いわゆる“木鼻答弁”をせず、一般国民にも分かる言葉で説明したのだと思います」(同)
杉山氏はこうも続ける。
「役人が書いた答弁は何を言っているのかよく分からないでしょう。それに対し高市さんは具体例を挙げながら、当たり前のことを言ったに過ぎません。日本の最西端・与那国島の目と鼻の先にある台湾で何かが起きたとします。直接自分に銃が向けられて殺されるわけではないにしても、お隣でそのような事態が起きていたら、いつ自分に火の粉が降りかかってくるか分からない。全然知らん顔をして関係ないなんてことにはならない。普通の人でも、そう考えるのではないでしょうか」
身近な危機
確かに国境の島である与那国島など八重山列島で暮らす住民にとっては、身近な危機であり、より切実で深刻な問題だ。石垣市の中山義隆市長はこう訴える。
「もし台湾周辺で何らかの武力衝突が起きると海上封鎖が行われ、食料やエネルギーが途絶えるのではないかという危機感があります。万が一の時には、石垣市や与那国町、竹富町、宮古島市、多良間村の住民らが九州・山口県へ『島外避難』する計画を政府主導で策定中です」
11月20日発売の「週刊新潮」では、安倍政権下で安保法制制定に携わった兼原信克氏や、与那国町前町長・糸数健一氏らの見解に加えて、このタイミングで高市首相が具体的な答弁をした背景について解説する。









