GPSを使って40代女性をストーカーした「前新潟市議」が裁判で主張したハチャメチャな「素行調査」と「正義感」 賠償命令が出ても「金がない」と逃亡

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 スキャンダルを起こしても独善的な言い分を貫いて居座る市長が全国的に目立っているが、かつて新潟県新潟市議会にも似たような市議がいた。ストーカー規制法違反容疑で逮捕され、一度罪を認めて罰金を支払った後で「やっていない」と撤回。その後、任期満了まで議員を続投したばかりか、被害女性から民事訴訟を起こされると荒唐無稽な反論を繰り返したのである。(前後編の後編)

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 前編【GPSで行動を監視されデマの“不倫怪文書”まで…2年間ストーカー被害にあった女性が告白「犯人はバイト先のコンビニ経営者の夫で、前新潟市議でした」】からの続き

示談を断った

 2022年9月7日、Xがストーカー規制法違反で新潟県警に逮捕された後、Xの妻はA子さんに示談を申し入れてきた。妻はA子さんのアルバイト先であるコンビニの経営者である。

「提示された金額は100万円でした。こちらは住居を二度も転居せざる得なくなり、それだけで100万円以上の転居費用がかかっています。最終的には150万円に上げられましたが、それも断りました」(A子さん、以下同)

 そもそも誠意ある謝罪がなかったと語る。

「奥さんは『ごめんなさい』とは言うんですが、どこか他人事のような態度だったのです。実際、最初『今後のことを話したい』と奥さんから店に呼び出された時に約束をすっぽかされています。しかも、その時間帯の勤務シフトに私が元々入っていて、代わりの人がいなかったため、私は一日夜勤をさせられる羽目になったのです。自分を2年間ストーカーしてきた男が取締役に名を連ねている店とわかった直後に…」

辞職勧告決議案が採択されても続投したX

 一方で、もう一人の被害者であるBさんとは示談が成立。それもあって、Xは逮捕容疑となっていたBさんの自宅や職場に虚偽の怪文書を送り付けた行為については起訴されず、A子さんの自宅をうろついていた容疑についてのみ略式起訴された。だが釈放されたXは、A子さんを仰天させることをマスコミの前で言い出した。

「罪を認めて罰金を支払っているにもかかわらず、『本当は買い物をするためにA子さんの自宅近辺を通っていただけで、ストーカー行為などはしていない』『自分には心臓に持病があり、体調の悪化が心配だったから、勾留を早く終わらせるために罪を認めただけだ』と。警察で認めた自供を撤回したのです」

 12月5日、新潟市議会はXに対する辞職勧告決議案を採択したが、Xは受け入れることなく5月の任期満了まで議員を継続。次の選挙には出馬せず、政界を引退した。

 納得がいかなかったA子さんはXがまだ在職中だった23年1月31日、約650万円の損害賠償を求める訴訟を起こした。そこでXは全面的に争う構えを見せてきた。

「逮捕後、警察の事情聴取で私のことを『愛おしい』と思うようになって、探偵を雇い、ストーカー行為をするようになったと供述していたのに、法廷では『コンビニの従業員としての素行に問題がないか調査する必要があったから』と主張してきました」

次ページ:時給1000円のアルバイトに探偵をつけて「素行調査」

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