男の子なのに“服はピンク”で“赤ランドセル”…母は「女の子のはずだった」 人妻に迫られて吐き気を覚えた40歳夫のトラウマ

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紗絵さんとの出会いが彼を変えた

 そんな彼を変えたのが、仕事で知り合った他社の紗絵さんだった。仕事だけのつきあいだったが、たまたま彼が同僚ふたりと飲みに行った店に、紗絵さんも同僚と来ていて同席したことで、彼女の素顔を垣間見ることができた。だからといって、謙太郎さんが「惚れた」わけではない。会社では気軽に女性に話しかけていたが、それはあくまでも彼の「表の顔」「社交上の特技」であって、本来の彼は女性については「ただのビビり」だった。

「その日は5人で盛り上がって、そのままカラオケに行ったんです。週末だったし、みんな終電がなくなったので朝まで歌ったりしゃべったりして。うたた寝するヤツもいて、紗絵と僕だけが起きていて話す時間がありました。彼女は1歳年下で、いい子だなとは思ったけど、つきあうなんてことになるとは思わなかった」

距離を縮めて

 翌日、すぐに紗絵さんから連絡があった。丁寧なお礼の文面に、思わず彼も返信した。すると「謙太郎さんはイタリアンはお好きですか。実は知人が店を開いたので1度、義理で行かなくてはいけないのですが、つきあっていただけたらうれしいです」とやんわりとした誘いが来た。

「紗絵には好感をもっていたし、ひとりでとか女友だちととかは行きづらい場なんだろうなとも思ったので、ぜひと返事をしました」

 誘ってくる女性は怖くはなかったのだろうか。そう問うと、謙太郎さんは「紗絵は薄い顔だったので」と微笑した。目鼻立ちが強烈ではない和風顔で、化粧もほとんどしていなかったから「オンナ」を押しつけてくる感じがなかった。声も低めで話し方もソフトだったから、一緒にいて心地よかったのだという。

「仕事仲間であり、友だちという感覚しかなかったから、特に警戒はしませんでした」

 それでも男と女はわからない。イタリアンレストランで食事をしたとき、「ちょうど今、読み終わった本」を紗絵さんが貸してくれた。それを返すためにまた会った。次は謙太郎さんが、仕事関係者から映画のチケットを安く譲ってもらい、それを「もらった」と言って紗絵さんを誘った。

 そうやって少しずつ距離を縮めていったふたりは、謙太郎さんが28歳のときに結婚に踏み切った。

 ***

 トラウマを克服し、心を許せる女性との生活がはじまった。だが夫婦生活は、目下、謙太郎さんの“自宅不倫”によって危機的状況だという。その顛末は【記事後編】で詳しく紹介している。

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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