「年収3000万円でも人気なし」 NHK会長人事「どんでん返し」を狙う大物政治家の名前
直近6人はすべて外部登用
NHKでは稲葉延雄会長の任期3年が来年1月で切れることから、次期会長選びが経営委員会で進行中だ。少なくともつい最近まで本命候補がおり、ほぼ確定との声もしきりだったが、ここに来て風雲急を告げているという。
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NHKの会長職は1976年に坂本朝一氏が初めて内部から昇格して就任して以降、プロパー起用がほぼ慣例となった。しかし、1997年から2005年まで約8年にわたって政治記者出身の海老沢勝二氏が“長期政権”を担う中、様々な不祥事が噴出。抗議の受信料不払いも拡大し、大きな問題となった。「内部の人材では組織改革ができない」という声が強まって、プロパーとしては技術畑の橋本元一氏が海老沢氏のあとの3年間、ワンポイント的に就いただけで、以降の6人はすべて外部登用だった。
僕だって絶対嫌ですよ
稲葉現会長の任期切れを見据えて後継の人選を経営委員会は進めてきたが、古賀信行委員長は11月11日、会見の場で「難題山積のNHK会長職を受ける人がいるんだろうかと正直に思う。なりたい人がいたら募集したいぐらいで、結構悩んでいる。やれって言われても、僕だって絶対嫌ですよ」と赤裸々に内情を明かすなど、うまく事が運んでいない様子がうかがえる。
「会長の報酬は年額3000万円あまりで一流企業の経営層などに比べて格段に低い上に、定例の記者会見や国会での答弁対応などもあって業務の負担は少なくない。外部から会長になっても局内に基盤がないので神輿として担がれて利用されるだけ。ある程度の社会的地位にある人にとってメリットよりもデメリットの方が多いと判断されがちで古賀委員長の言うように普通は引き受けませんよ」(放送担当記者)
橋本氏以降の直近会長6人の出身母体はアサヒビール、JR東海、三井物産、三菱商事、みずほフィナンシャルグループ、そして日銀。いずれも3年の任期を1期務めただけ退任しており、稲葉会長についても初期の肺がんを公表するなど体調不良という理由もあって、1期で退任というのが確定的だ。
内部昇格説が浮上
外部から手を挙げる人はいない。NHKに対する国民の厳しい視線は依然としてあるものの、一時ほど激しいものではないーー。そういった状況から浮上してきたのが内部昇格説だ。
「井上樹彦(たつひこ)副会長の昇格ですね。本人は意欲満々です」(同)
井上氏は政治記者出身で政治部長などを歴任したが、局内での勢力争いに敗れたこともあって報道を統括する報道局長にはなれなかった。その後は編成の分野を主な担務として理事にはなったが、技術系の子会社に転出。一時は「終わった人」と見られていたという。
それが一転、稲葉氏の会長就任とほぼ同時期の2023年2月、副会長としてNHKに再び戻ってきたのだった。
「政治部時代にはマイナー派閥である旧河本派を担当していました。彼の後輩で報道局長も務め、現在、専務理事の小池英夫氏は特ダネ記者として有名ですが、井上氏の方はかつて政治部長時代、監督官庁である総務相経験者で今もなおNHKに強い影響力を持つ菅義偉元首相と関係を構築したといわれています」(NHKの有力OB)
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