フワちゃんの持ち味はプロレスでは通用しない? 「自分が主役」感覚が抜けないと大惨事を招くリスクも
「ヒール転生」のシナリオの勝算は? かつて見せたアドリブの弱さという不安要素
もっとも、世間の反応は割れている。「面白そう」という人もいれば、「プロレスを復帰理由に使うな」という反発や、「結局また目立ちたいだけでは?」という声も根強い。だが、それこそがヒール(悪役)の宿命である。
プロレスの世界で、ブーイングされないヒールなんて存在価値が無い。観客の感情を動かすのがエンタメの根幹なら、嫌われることすら戦略のうち。その点、フワちゃんの「ウザ絡み」が過ぎる性格は向いているといえそうだ。
ただし、リングの上は「ツッコミ待ち」では済まされない。真剣勝負の空気の中で、フワちゃんがどこまで本気を見せられるか。初戦で「痛い目を見る」姿を見せれば、世間の溜飲も少しは下がる。むしろそこにこそ、再生のチャンスがあるとみているのだろう。
といっても、不安要素は残る。スターダムのプロレスといえばタッグ戦が中心。パートナーとの呼吸、仲間同士の信頼が何よりも大事になる。つまり「誰と組むか」「どう息を合わせるか」が最初の試練だ。
相手の話を遮り、テンションで押し切って笑いを取るスタイルはテレビでは成立しても、リング上では危うい。プロレスは、掛け合いと支え合いの上で成立する「協働のエンタメ」。「自分が主役」の感覚が抜けないままだと、相手にケガをさせてしまうことすらある。
思い出されるのが「まつもtoなかい」でのローラさんとのトークである。同じ「タメ口キャラ」として引き合わされるも、フワちゃんのペースに巻き込まれまいと淡々とした態度を取り続けたローラさんは「ノリが悪い」「感じが悪い」と批判を浴びた。仕掛けた側のフワちゃんもアドリブの弱さが露見し、放送事故レベルの惨事といわれてしまったのである。
一方で自分のペースを乱されることには敏感に反応し、声をかけてくるファンに対しても「ウゼエから話しかけないで」とキッパリ。また自分がコーヒー店に行っていたため飛行機に乗り遅れたのにスタッフに逆ギレする、機内でCAの再三の呼びかけにも無視を続けリクライニングを倒しっぱなしにしていたと他の芸人に暴露されるなど、一般人に対する高圧的な振る舞いも明らかになっていた。
フワちゃんが以前語った「友達と仕事するのが一番」という言葉も、裏を返せば「自分のペースを崩すことなく、メリットをもたらしてくれる相手としか組まない」という身勝手を含む。しかしスターダムでは、格上も格下も同じリングに立つ。人気や知名度ではなく、信頼と連携がものを言う世界だ。メリット計算より「お互いを信じ合う心」が必要になる。
これまでは「疲れてるんだろう」「あれもキャラの一部」と許されてきたが、勝負の世界では通用しない。またプロレスといっても試合だけ出ていればいいわけでなく、物販やプロモーションなど、アイドル顔負けの丁寧なファンサービスが求められる場もある。つまり、これまでのフワちゃんが武器にしてきた「マイペース」「思ったことをすぐ口や顔に出す」という持ち味が、今後は弱点になるかもしれないということだ。こうした「不自由」に、彼女は耐えられるだろうか。
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