妊娠で“なんとなく結婚”して20年…妻が「息苦しい」と言い出した 婚約パーティーでの密かな裏切りも見過ごしたのに

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【前後編の前編/後編を読む】「仲良しご近所さん」との奇縁を知って45歳夫は“うつ”状態に… 異色の結婚観にも影響されはじめた夫婦の行き着く先は

 このところ、一夫一妻制度が息苦しいという声を多くの人から聞くようになった。以前からそう思っている人はいるのに口に出せなかったのか、あるいは急激にそういう人が増えたのかはわからない。ただ、YouTuberのヒカル夫妻がオープンマリッジを公表したこと、一方で新政権によって選択的夫婦別氏制度が遠のいた実感があることなどから、「いったい、結婚って何なんだ」と人々の感覚が刺激された感は否めない。

「うちの妻が最近、結婚が息苦しいと言いだしているんです」

 倉木実さん(45歳・仮名=以下同)はそう言った。見るからに実直そうな男性だが、彼を紹介してくれた共通の友人は、「倉木は、まじめそうに見えてそうでもないんじゃないかと僕は考えている。最近、なんだかいろいろ悩んでいるみたいだから話を聞いてみてくれないかな」ということだった。

 ところが実際に会ってみると、妻からの「結婚が息苦しい発言」に悩んでいるという。友人であっても知らないことは多いのだろう。

妻と出会ったのは20年余前、上司と不倫中の身だった

 実さんと妻の遼子さんが知り合ったのは21年前だ。新卒で入った会社の同期だったため、たびたび集まっているうちに親しくなった。結婚したのは28歳のときだ。

「僕は、自分が結婚には向かないと思っていたんです。うちの両親は離婚しているし、離婚前の壮絶なケンカもはっきり覚えているから。でも遼子が妊娠したので踏ん切りがつきました」

 遼子さんのほうも「どうしても実さんではなくてはならない」というわけではなかったようだ。というのもふたりは周りが恋人関係と見なすようになってからも、実際は友人関係だった。遼子さんは上司と不倫していたのだ。その愚痴を、実さんはときどき聞かされていた。

「ドラマみたいに、上司と別れてオレと一緒になろうなんていうような侠気は僕にはなかった。上司と不倫なんて、何の得にもならないことはやめたほうがいいとずっと言っていたんです。あるとき、彼女が上司から『妻に疑われている。しばらく会わないでおこう』と言われてショックを受け、会社にバラすと息巻いているのを押しとどめてから関係が変わった」

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