立花孝志容疑者逮捕「先月のドバイ旅行で逃亡を警戒か」「2027年3月までに有罪確定すれば3年以上は出てこられないかも」元テレビ朝日法務部長弁護士が解説

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 斎藤元彦知事との「2馬力」兵庫県知事選から約1年。ようやくこの日がやってきた。11月9日、兵庫県警は、斎藤知事再選後に自ら命を絶った竹内英明元兵庫県議会議員に関する虚偽の情報を発信したとして、名誉毀損容疑で「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志容疑者(58)を逮捕した。捜査のポイントについて、元テレビ朝日法務部部長の西脇亨輔弁護士が解説する。

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伊東市長選の告示前に

 立花容疑者は竹内氏に対し、生前している昨年12月に「警察の取り調べを受けているのはたぶん間違いない」、亡くなった直後の今年1月には「どうも明日逮捕される予定だったそうです」などと発信していた。これらの発言について、兵庫県警は虚偽で名誉毀損にあたる疑いがあるとして逮捕した。

 兵庫県警はこれまで立花容疑者から任意で事情を聞いてきたが、逮捕に踏み切ったことにはいくつか理由があると思う。

 まず、これまでの捜査で名誉毀損罪の容疑が固まってきたと判断したこと。容疑者を強制的に拘束する「逮捕」をするためには、裁判所に事件の資料を示して逮捕の必要性を説明し「逮捕状」を出してもらうのが原則だ。この「裁判所から逮捕状を出してもらえるだけの資料」が、これまでの捜査で集まったのだろう。

 また「立花容疑者と選挙」の関係が影響した可能性もある。容疑者が選挙に立候補しているからといって逮捕できなくなるわけではないが、やはり選挙期間中の逮捕は「選挙妨害」と言われないように慎重になるだろう。立花容疑者は昨年の兵庫県知事選後も数々の選挙に立候補し、今月3日には学歴詐称問題で田久保真紀市長が失職した伊東市長選への立候補を表明した。伊東市長選の告示は12月7日の予定なので、その前に逮捕に踏み切ったのかもしれない。

「ドバイの記憶」

 そして実は大きな理由にあったと私が推測しているのが「ドバイ渡航」だ。立花孝志氏は10月末にドバイに出国、現地の人脈との交流の様子などをSNSで公開した。ドバイと言えば2022年の参院選にNHK党から出馬して当選したガーシーこと東谷義和氏が拠点としていた場所。ガーシー氏は参院選当選後もドバイに居続けて参院から除名されただけでなく、2023年3月に暴力行為法違反(常習的脅迫)や名誉毀損の疑いで逮捕状が出されてもドバイから帰国せず、逮捕できない日々が続いた。

 結局、国際刑事警察機構(ICPO)よる国際手配などを経て同年6月の帰国時に逮捕となったが、海外にいる容疑者の逮捕は外交の問題もからみ非常に手間がかかる。今回の逮捕の判断にあたっては、この「ドバイの記憶」も念頭にあったのかもしれない。

 いずれにしても今回の逮捕によって立花孝志容疑者の捜査は大きく前進することになるが、まだ出発点に過ぎない。ここから起訴・不起訴の判断、そして起訴されたら裁判が始まる。裁判も争い続ければ最高裁判所まで3回行われることになる。

 ここで気になることがある。はたしてこの事件の裁判は「タイムリミット」までに終わるのか。

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