「小野寺五典新会長」「維新との連立」で自民党税調はどう変わるのか 政府税調特別委員の土居丈朗氏が語る「インナーの役割」とは
高市政権の船出とともに、自民党の税制調査会の「インナー」と呼ばれる幹部メンバーが一新された。インナー以外から異例の会長就任となった小野寺五典前政調会長や、ナンバー2に就いた“商工族”の山際大志郎元経済再生相を含め、今回の人事はいったい何を意味するのか。今後の注目点などについて、「政府税調」で特別委員を務める土居丈朗・慶應義塾大学教授にきいた。
「インナー」の役割
そもそも自民党税調の「インナー」がインナーたるゆえんは、様々な分野に横断する税制についての知見が深く、広い視野から着地点を考えられるというところにあります。
たとえば、法人税について強い主張を持つ議員の声がいくら大きくなったとしても、税調では税制全体のこと、またこれまでの議論の積み重ねを考慮したうえで、帳尻を合わせる調整が必要になる。これができる人たちがインナーを務めてきたというわけです。
昨今は消費税減税などの世論も強まる中、その“歯止め役”のような見え方になっているインナーは、ある意味で嫌われ役という側面も持っているかもしれません。
前会長・宮沢洋一氏の実績
そういう意味で、前会長の宮沢洋一氏は、やはり実力者だったといえます。税制に精通し、毎度財源に穴が開かないように配慮しながら、政権の意向を反映するような形でうまく議論を決着させる手腕は、党内でも高く評価されていました。
かといって「減税は絶対にやらない」というわけではなく、たとえば特許などの知財から生じる所得に減税措置を適用する「イノベーション拠点税制」(イノベーションボックス税制)を導入するなどの実績もありますよね。
このように様々なバランスをとったうえで、党内外の利害調整や根回しなどもできる人が、歴代会長を務められてきたように思います。
[1/2ページ]



