「安倍氏の“正統後継者”だとアピール」 高市首相が人事も政策も安倍政権を踏襲する理由とは
安倍外交における功労者の名前も
さらには今年1月に国家安全保障局長に着任したばかりの岡野正敬氏(61)を早くも交代させて、後任に前官房副長官補の市川恵一氏(60)を充てたのである。
「市川氏といえば、外務省在職時に安倍政権の基本外交方針である『自由で開かれたインド太平洋』構想の立案に関わった人物として知られます。10月にインドネシア大使への転任が発令され、天皇陛下の認証も済んでいたため異例の登用だと話題になった。麻生氏も“安倍外交を継承するなら市川氏が適任だ”と、人事を後押ししたとささやかれています」(前出のデスク)
元駐豪大使で外交評論家の山上信吾氏が言う。
「市川氏は、谷内正太郎初代国家安全保障局長(81)や(第3代局長の)秋葉氏の下で働いた経験があります。『自由で開かれたインド太平洋』構想を実現すべく、日米豪印の戦略的な枠組みの青写真を『日米豪印戦略対話』(クアッド)で描きました。つまりは安倍外交における功労者の一人です。高市首相が政策課題に掲げる『安保関連3文書の前倒し改定』を成し遂げる際にも必ず力となるでしょう」
「サナエノミクス」の影響で円安に
安倍政権を模倣したのは人事面だけではない。
「高市首相は安倍氏と同様に選択的夫婦別姓や同性婚に否定的です。また、首相の経済ブレーンである本田悦朗元内閣官房参与(70)は、かつて安倍首相にデフレ脱却の方策として“日銀による大胆な金融緩和と政府による積極的な財政出動”というリフレ派の経済政策を授けた人物。最近もメディア各社の取材に対し、金融緩和継続の必要性を訴えています」(前出のデスク)
市場は高市流の経済政策「サナエノミクス」がアベノミクスの路線を踏襲すると判断。急ピッチで円安が進み、高市総裁就任前には1ドル147円だった為替が約8カ月ぶりに一時153円にまで下落した。
後編【「秘書を長時間怒鳴り続ける事件が」 高市首相の夫の“言動”が波紋 「脳梗塞で倒れたが、現在は回復」】では、高市首相が抱える「不安要素」について詳しく報じる。
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