驚異の支持率82%「高市ブーム」に石破前首相が本音 「国民にウケることだけが、必ずしも国のためになるとは限らないのでね…」

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保守層が自民党に回帰

 ノンフィクション作家の石戸諭氏はこうした「高市現象」について、次のように見ている。

「岸田文雄元首相(68)と石破茂前首相(68)の2代にわたり、政府の物価高対策は十分な成果を上げられませんでした。30~40代の現役世代や子育て世代には不満が蓄積し、自民党離れが進みました。その結果、国民民主党や参政党が支持を伸ばしたのです。こうした状況下で、積極財政路線を掲げる高市首相に期待が集まり、事実上の政権交代が起きたと見ることもできるでしょう」

 選挙コンサルタントの大濱崎卓真氏もこう分析する。

「高市首相の支持率が石破首相時代よりも格段に上昇した理由の一つに、保守層が参政党や日本保守党支持から自民党支持に回帰した可能性が挙げられます」

 大濱崎氏の調査によると、石破内閣発足直後の支持率は自民党支持層で58%、参政党支持層で16%、日本保守党支持層になると4%にとどまっていた。

 しかし、高市内閣発足後は自民党支持層が82%まで回復。参政党支持層は77%、日本保守党支持層も86%といずれも大幅な上昇を記録した。無党派層でも石破内閣では25%にとどまった支持率が、高市内閣では60%まで急上昇している。

「国民にウケることだけが、必ずしも国のためになるとは限らない」

 ここまで期待値が高まると、結果が出ない場合の反動が心配、といったぜいたくな悩みも聞こえてくる。何せ物価高は簡単にどうにかできるものではないし、減税をすればどこかで賄う必要が生じる。自然な増収でカバーできない場合、結局「痛み」は国民に回されるのだ……。

 石破前首相はどう言うか。本人に聞くと、淡々とこう答える。

「どの政権でもそうでさ、期待値と実績は違う。国民にウケることだけが、必ずしも国のためになるとは限らないのでね……」

 実際、政権の先行きは不安視されてもいる。いくら人気が高くても、高市政権が少数与党であることには変わりなく、政策実現には野党の協力が不可欠で、難しい国会運営が待ち構えている。しかも、高市首相は、安倍政権で首相秘書官を務めた今井尚哉(たかや)内閣官房参与(67)を指南役と頼っており、そのアドバイスの下、現状、外交面では中国、韓国とうまくやっていく現実路線を取ろうとしている。すなわちそれは、高市ブームの屋台骨となっている岩盤保守層からいつ何時、反発を招くやもしれぬ危険性もはらんでいるのだ。11月6日発売の「週刊新潮」では、異常ともいえる「高市現象」の背景に迫る。

週刊新潮 2025年11月13日号掲載

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