効果を高めるワクチン接種の時間帯は? 薬は「いつ飲みむか」で効果が変わる!
快適な目覚めのアイテム
そう言われても、遮光カーテンを閉め切って寝ているので無理という人には、照明付き目覚まし時計がお薦めです。目覚まし時計の「音」だけで起床すると、人間の生理に基づいた起き方ではないため不快感が残り、なかなか頭がすっきりしません。他方、近年売り出されている照明付き目覚まし時計の明かりは、起床30分ほど前から徐々に明るくなり始め、目覚める時には朝日と同じ明るさに感じられるように工夫されているので、体内時計がリセットされ、すっきりとした目覚めが可能になります。
次に、朝食です。朝日を浴びるのとともに、朝食を取ることによって1時間のズレが補正されます。現に、毎日朝食を取っている人と比較した場合、取らない人は心筋梗塞での死亡リスクが約2倍高いとの報告があり、朝食抜きが生体リズムに反した生活であることが分かります。
とはいえ、ただ朝食を取ればいいという話ではありません。英語で「ブレックファスト(breakfast)」と言うように、「fast(絶食)」を「break(破る)」のが朝食の役割なのです。そして、体内時計を整えるためには、睡眠時間を含めて10時間以上の絶食時間を保った上でそれを破るという、文字通りの「ブレックファスト」が必要とされています。午前7時に朝食を取るのであれば前日の午後9時までに、午前9時に朝食を取るのであれば前日の午後11時までに夕食を済ませなければならないのです。そのため、早く寝ることも大切になります。
これらのことを考えると、昔からよく言われる「早寝、早起き、朝ごはん」は、単に“清く正しい生活”のためのスローガンではなく、生体リズムにのっとった健康法の基本であるともいえます。より正確に言えば、「早起き(朝日を浴びる)」「朝ごはん」を実践するために「早寝」が求められるわけなので、重要度としては「早起き、朝ごはん、早寝」と捉えたほうが、健康をもたらすメカニズムとしては理解しやすいかもしれません。
その上で、「早寝≒よき睡眠」のためには適度な運動が有効ですが、ここでも生体リズムの観点が必要になってきます。通常、交感神経(自律神経のアクセルの役割)活性は夜間に低下するため、夜になると自然に体は入眠しやすい状態になりますが、夜遅くに体を動かすと交感神経活性の低下が弱くなり、興奮したままの状態が続いて眠りにつきにくくなります。一方、朝から昼にかけて運動すると生体リズムが前進することが分かっています。そのため、健全な生体リズムを保つには午前中に運動した方がよいといえるでしょう。
「いつやるか」、そして「いつ飲むか」。その差が健康に与える影響は決して小さいものではない――。「時間治療」という概念を知ることで、このことをぜひ「健康常識」の一つに加えていただければと思います。
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