効果を高めるワクチン接種の時間帯は? 薬は「いつ飲みむか」で効果が変わる!
麻酔を伴う歯の治療は午後4時以降に
生体リズムと時間治療。続いては、この観点から一つの「究極の選択」を紹介してみたいと思います。
こらえようにもなかなか我慢し難い虫歯による歯痛。この出現頻度は早朝に高いことが分かっています。痛みを伝える神経の伝達速度がこの時間帯に最も速くなることが原因と考えられます。
早朝から痛み出した歯を一刻も早く治療して、その耐え難い痛みから解放されたい。誰もがそう思うでしょう。しかし、虫歯の治療で抜歯したり歯を削ったりする際には麻酔が使われるケースが少なくありません。そして、健常な成人を対象に、リドカインという麻酔を歯茎に投与した時の麻酔効果の継続時間を調査した研究によると、午前8時に投与した場合が最も短く、午後4時に投与したケースが最も長いという結果が出ています。これは麻酔薬を体外に排出する力が午後の方が弱く、麻酔薬の歯茎内濃度が高くなるためだとされています。
つまり、「歯痛」をすぐにでも解消したいのであれば午前中の治療もありでしょうが、麻酔を伴う治療で「抜歯後の痛み」を少しでも長く抑えたいのであれば、午後4時の治療がお勧めということになるのです。
ここまで時間治療について説明してきました。私たちに備わっている生体リズムがいかに治療の効果や健康と深く結び付いているかがお分かりいただけたのではないでしょうか。考えてみれば当然の話で、生物である人間が、生体そのものが奏でるリズムに反して生活していては、心身を害するのは必然の帰結といえます。そこで改めて、生体リズムにのっとった生活スタイルの重要性について考えてみたいと思います。
ズレをリセット
私たちの体には「体内時計」があり、この時計によって生体リズムが生み出されています。しかし、体内時計の周期は約25時間で、地球の自転に伴い24時間の明暗サイクルで暮らしている私たちの環境とは1時間ほどズレがあります。つまり毎日1時間、このズレをリセットしなければならないのです。
では、どうやってリセットするのか。その二大要素は「朝日」と「朝ごはん」です。
まず、私たちは朝日を浴びることで体内時計をリセットし、進化を遂げてきました。しかし、コンビニなどの終日営業の店が増えたことに加え、スマートフォンやパソコンが普及したことで「24時間型社会」が到来し、朝日を浴びながら、すっきり起床するという習慣が失われている傾向にあります。事実、20~64歳の約40%が睡眠不足を自覚しているとの調査もあり、睡眠不足が続くと体内時計がうまくリセットされず、糖尿病や高血圧、脂質異常症やうつ状態になるなどの危険性が高まります。やはり、朝日をしっかりと浴びることが欠かせないのです。
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