「ジャパニーズ・メディア? 話をしよう」…「トランプ氏」が“ゴルフ”について筆者に語ったこと 高市首相の贈り物が“響いた”と思う理由
贈り物でも立派な「ゴルフ外交」
10月27日に来日したドナルド・トランプ米大統領と、翌28日に初の直接会談を行った高市早苗首相は、ゴルフが大好きなトランプ氏へのお土産として、ユニークな品々を贈ったそうだ。
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贈り物の1つは、トランプ氏が2017年の来日の際に安倍元首相とともに霞ヶ関カンツリー倶楽部をラウンドした松山英樹のサイン入りゴルフバッグ。能登半島地震の被災地、金沢(石川県)の金箔をあしらった黄金のゴルフボールも贈られた。そのボールにはトランプ氏の名前が入れられていた。
さらには、安倍元首相の妻・昭恵さんの意向を踏まえ、安倍元首相が愛用していたパターもガラスケース入りで贈られた。かつて安倍元首相は、トランプ氏と実際にゴルフをすることで親密化を図る直接的な「ゴルフ外交」を展開していた。
高市首相は、自分自身はゴルフをせずとも、ゴルフにまつわるモノやコトを活用することで、トランプ氏との関係構築を目指そうとしているのだろう。たとえ間接的であれ、ゴルフが媒介となって進められるサナエ流の外交は、立派な「ゴルフ外交」だと私は思う。
「単なる道具」と考えないトランプ氏
トランプ氏の来日前、高市首相が用意するお土産は「安倍元首相が愛用したクラブセットだろう」と報じられた。
すると、ネットニュースのコメント欄やSNSでは、トランプ氏が安倍元首相のクラブを「使うとは思えない」「体格も違いすぎるし、使えないだろう」等々、さまざまな声が寄せられていた。
ゴルフクラブは体格や筋力、好みなどによって選ぶべきものだ。安倍元首相のクラブのスペックがトランプ氏に適しているとは考えにくいため、おそらくトランプ氏は使わないだろうと思われた。
実際に贈られたものは、ウッドやアイアンではなくパターだったが、ゴルフをこよなく愛するトランプ氏が、クラブやパターを単なる道具としてではなく、それを握る人の想いや心が込められた大切なモノとして見ていることは、以前から感じられていた。
マキロイのアイアンを夜中に拾い上げて
かつて、トランプ氏が所有するトランプ・ナショナル・ドラール(米フロリダ州マイアミ)で開催されていた、PGAツアーのWGCキャデラック選手権2015年大会で、こんな出来事があった。
北アイルランド出身のローリー・マキロイが、自身の不甲斐ないプレーに激怒し、思わず、手にしていた3番アイアンを目の前の池に向かってブーメランのように放り投げた。
それを知ったトランプ氏は、その夜、ダイバーを雇って池の底からマキロイが投げ入れた3番アイアンを拾い上げさせた。そして翌朝、練習場でウォーミングアップをしていたマキロイに「はい、どうぞ。キミの大事なアイアンだ」と言って手渡したのだ。
観客席からは大きな拍手と歓声が上がり、度肝を抜かれたマキロイは照れ笑いしながら恐縮していたが、その後、その3番アイアンをトランプ氏に贈呈した。トランプ氏はそれをガラスケースに入れて、ドラールのクラブハウスに大事そうに飾った。
マキロイの汗や涙、喜びも怒りも沁み込んでいる「マキロイのアイアン」だからこそ、トランプ氏が大切に思っていることが、素直に伝わってきた出来事だった。
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