信頼していた先輩は「フレネミー」だった 策略で職を失い…怒れる恋人が仕掛けた恐ろしい復讐策とは【川奈まり子の百物語】
【前後編の前編/後編を読む】「縁切り神社」の効果が恐ろしすぎた 元同僚が次々と不幸に…だが祈った本人にも訪れた“代償”
これまでに6,000件以上の怪異体験談を蒐集し、語り部としても活動する川奈まり子が世にも不思議な一話をルポルタージュ。今回は、後輩の幸せを嫉んだ男性の末路を紹介する。
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あなたは信頼していた仲間に裏切られたことがあるだろうか?
裏切る時点で仲間と呼べるか否かはさておき、好意を持ってくれていると思い込んでいた近しい存在が、知らないところであなたの悪評をバラまき、失敗を画策していたとしたら。
そのような友人(Friend)の仮面をかぶった敵(Enemy)、それがフレネミーだ。
彼らの最大の特徴は、二面性があること。
表向きは良いことを言い、親しげにふるまいながら、裏で陥れようとする。
こっそりと手柄を横取りし、成功しそうな運びに水を差して、排除を企む。
――そんなフレネミーの末路を見届けたという、とある男性から体験談が寄せられた。
A先輩の愚痴
ここでは仮に彼の名前を昌彦さんとしておく。年齢は現在40歳で、千葉県出身だ。
大学進学と同時に上京し、卒業後は東京都内の企業に就職したが、およそ10年前に職場の人間関係に悩んで転職した。
「きっかけは、職場の先輩・Aさんの愚痴を聞いたことでした」
Aという男性は、元は昌彦さんの教育係だったが、仕事を覚えてからも、その後も休憩時間に世間話をしたり、たまに呑みに誘ってくれた。また、上司からの評価も高かったことから、昌彦さんは良い先輩だと思い、慕っていた。
Aの方でも、昌彦さんに目を掛けてくれたようすだった。
そんな平穏な状況が急転直下したのは、入社4~5年目のことだった。
その頃、昌彦さんは、手柄を立てて昇進した上に、時期を同じくして、学生の頃から付き合っていた女性と結婚する運びになった。
あらたまって結納こそしなかったものの、双方の家族を集めて会食し、将来について話し合ったというのだから、事実上の婚約をしたわけである。
そのことを昌彦さんはAに打ち明けた。
彼は「あの当時はちょっと浮かれていました」と言う。
嬉しいことがあったとき、誰かに聞いてもらいたくなる気持ちはわかる。
真の友なら、彼の幸福を喜び、祝福してくれたであろう。
Aも笑顔で「おめでとう」と言ってくれたのだが……。
すぐに深刻な表情に変わると、好きでもない同僚のB子に言い寄られて困っているのだと昌彦さんに相談しはじめたのであった。
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