フジテレビ、2ドラマで致命的ミス “時代錯誤”の脚本に若い視聴者はついていけない

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若い世代には理解不能

 かつてストリップには特定の踊り子に向かってリボンを投げる熱狂的なファンがいた。「リボン族」などと称されていた。今で言うところの追っ掛けである。江頭がただの常連客ではないことが表されているが、ストリップと無縁だと知り得ない。

 踊りの幕間に登場する「コントオブキングス」の存在を違和感なく受け入れた人もそう多くはないのではないか。やはりストリップ黄金期には幕間でお笑いを見せる劇場があった。「コント赤信号」(渡辺正行、ラサール石井・参院議員、小宮孝泰)もストリップ劇場の舞台に立っていた。

 物語の中に注釈を入れられると煩わしいものの、限られた世界の話なので、説明がないと分かりにくい。1984年の物語はもはや時代劇のようなもの。現代人にも伝わるようにしないと、面白みが分かりにくい。

 リアリティもいいのだが、明快さも重視すべきだった。そもそも脱がない踊り子たちを登場させること自体、リアリティを放棄しているのだから。

 個人視聴率は第1回3.1%(世帯5.4%)、第2回2.3%(世帯4.4%)、第3回2.2%(4.0%)、第4回2.2%(3.7%)。深刻なまでに低い。特に40代以下に絞ったコア視聴率が壊滅的と言っていいほどに落ち込んでいる。

 40代以下は1984年を知らず、1980年代の小劇団黄金期も実体験していない。三谷氏が劇団「東京サンシャインボーイズ」を旗揚げしたのも1983年だった。

「小さい頃は、神様がいて」の個人視聴率はもっと厳しい。危機的とすら言える。第1回が2.8%(世帯5.0%)、第2回2.2%(世帯4.0%)、第3回1.7%(世帯3.7%)。コア視聴率も全ドラマの中で最低クラスである。

「視聴率はもう今は関係ない」という意見をたまに見受けるが、それは明らかに間違い。リアルタイムで見た人の数を表すデータが関係ないはずがない。実際にはNHKも含めた全局が視聴率に一喜一憂している。

 民放のCM売上高は個人視聴率、コア視聴率とピタリと一致する。スポンサーは観られていない局と番組に金を出さない。TVerを観ている人は少数派だから、その売上高は各局とも約20分の1以下に過ぎない。

「小さい頃は、神様がいて」はユーミンこと松任谷由実(71)を前面に押し出した。タイトルはユーミンの3枚目のシングル「やさしさに包まれたなら」(1974年)の中の一節。

 主題歌もユーミンの新曲「天までとどけ」。劇中でもユーミンの楽曲が流れる。66歳になる大御所脚本家・岡田惠和氏の思いが込められているのだろう。

 ユーミンは中島みゆき(73)と並び、不世出のシンガーソングライターだ。2013年に紫綬褒章を受けている。最終的には文化勲章を得るのではないか。

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