「こんな田舎でオヤジの工場を継ぐなんて…」上京して社長令嬢と“逆玉婚” 46歳夫が語る地獄のはじまり
【前後編の前編/後編を読む】息子を溺愛する妻を見て「僕も母に愛されたかった」欲望はとんでもない方向へ… 46歳夫が“気づけば流していた”涙のワケ
不倫は「心の殺人」だと言う人がいる。サレた側としてはそうとしか思えないのかもしれないが、一方で「浮気は浮気、本気ではない」と片づけるシタ側も少なくない。サレた側とシタ側とでは認識が大きく異なるのだろう。
【後編を読む】息子を溺愛する妻を見て「僕も母に愛されたかった」欲望はとんでもない方向へ… 46歳夫が“気づけば流していた”涙のワケ
「僕の場合は、バレた瞬間、妻に罵倒されました。でも関係はそのままです。家庭も彼女も」
北岡雅秋さん(46歳・仮名=以下同)は意気消沈した面持ちでそう話す。自分の場合は、いわゆる不倫の恋というわけではないような感じもすると、気になることを言う。
町工場の長男に生まれて 「このまま田舎で…」
雅秋さんは地方の小さな町工場の長男として生まれた。弟ふたり、妹がひとりの4人きょうだいだ。父方の祖父母も同居しており、彼が小学校に入るころ、父の妹が子どもふたりを連れて転がり込んできた。一家11人が狭い平屋の自宅にひしめきあうように暮らしていた。
「母は大変だったでしょうね。工場もたいして儲かっているわけではなかったようだから、うちのごはんは白米に麦がたくさん入っていた。学校で白米を食べるようになって、うちのごはんはおかしいと思ったものです。聞いてはいけないような気がして、親には何も言えなかったけど……」
家族が多すぎると、誰が何をしているのかわからない。祖母は決して優しい人ではなかったが、“嫁いびり”をするような暇はなかったようだ。母と祖母と叔母は、工夫して食事を作ることに毎日、多くの時間を費やしていた。なんせ子どもが全部で6人もいるのだから。
「3世帯11人。仲がいいのか悪いのかわからない状態でした。ゆっくり宿題をする場所もないから、僕は放課後、いつも学校の図書館に遅くまでいました。そうすると『弟妹のめんどうくらいみなさい』と怒られたけど、家にいるのが嫌だった。誰が嫌とかではなく、狭いところに人がひしめきあっているのが息がつまって」
貧乏は嫌だと思った。父母は一生懸命働いている。それでも裕福にはなれないのだ。どうしたらお金持ちになれるのか、雅秋さんは子ども心に必死で考えていたという。
「このまま田舎で高校を出てオヤジのあとを継ぐなんて、考えただけでも恐ろしかった。早く都会に出なければと焦っていましたね」
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