「独裁」発言で高市政権を痛烈批判も1日でトーンダウン 公明代表の「ほろ苦」野党デビュー

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これは、独裁ではないでしょうか

 24日に高市早苗首相の所信表明演説が行われた。各党党首は演説後に受け止めを求められ、野党側は批判の言葉を並べるというのが通常の光景だ。今回、野党として首相の所信表明演説を聞いた公明党の斉藤鉄夫代表の反応はどういったものだったのか。

 記者団に受け止めを聞かれた公明党の斉藤氏は、高市首相が演説で「政権の基本方針と矛盾しない限り、各党からの政策提案をお受けし、柔軟に真摯に議論してまいる」と述べたことについて、こう語った。

《“我々の方針と矛盾すれば議論しない”と読めます。それではもう初めから“政権の方針通りの考え方で議論して来い”ということでしょ。私はその一文にものすごく危ういものを感じました。“我々の方針”とは違う角度から質問してきても、“もう議論しない”。これは、独裁ではないでしょうか》

 加えて、「企業・団体献金の禁止の取り扱い」についても、《言及がひとこともなかったことにびっくりした》と批判した。

準備したうえでカメラの前に

「与党暮らしがとても長かったため野党らしく振舞えるのだろうかと皮肉られていましたが、杞憂に終わりましたね、スタートからなかなか板についていました(笑)。冗談はさておき、“企業・団体献金の禁止”は公明が連立を離脱することになった要因の1つで突っ込むことは想定内でした。一方で、“政権の基本方針と矛盾しない限り”という文言に切り込んでいったのは意外というか、オリジナリティを出したかったのかなと感じます。中でも目立ったのは“独裁”という言葉遣いです」(同)
 
 映像を見る限り、斉藤氏は「独裁」と言う前にいったん間をあけたようにうかがえる。

「そうですね、強調するためにそうしたのでしょう。所信表明演説の中身は事前に知ることが可能なため斉藤氏はそれを確認したうえでどこをどう指摘するか、準備したうえでカメラの前に臨んだと思います」(同)

若干ムリがある

「今回に限らず公明が連立離脱を明言した際もですが、ここ最近の斉藤氏の姿勢や言葉の選び方には若干ムリがあるのかなぁと見ています。誰かに“強制的に言わされている”とまで言いませんが、本人が本当に主張したい内容なのかなぁという印象があるのです。連立離脱直後なのでしばらくは注目されるので“世の中からどう見られているか”を意識するのは当然ですが、今回もうっすらと笑いを浮かべながら対応していて余裕のある感じを見せたかったのかもしれません」(同)

 野党の立場になって以降、公明の機関紙「公明新聞」も路線を転換している。例えばNHKの世論調査を引用した16日の記事にはこうある。

《公明党が自民党との連立政権に区切りを付けるとした決断を多くの人が評価していることが明らかになった。NHKが11~13日に実施した世論調査で、「公明党の斉藤鉄夫代表が自民党との連立政権から離脱を表明したこと」についての評価を尋ねたところ、「評価する」は「大いに」と「ある程度」を合わせて66%に上った。「評価しない」は「あまり」と「まったく」を合わせて27%だった》

 つまり、自分たちの選択はおおかたの支持を得ているとの主張だ。

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