「小野田紀美」「片山さつき」の起用は“突破力と軋轢が背中合わせ”か…保守色が基調「高市内閣」の分析
官邸スタッフの顔ぶれ
さて、高市首相をより間近で支えるのは、官邸スタッフである。
衆参の官房副長官は、それぞれ尾崎正直、佐藤啓氏の両若手となった。ともに高市選対を担った。尾崎氏は財務省職員時代に官房副長官秘書官を務めたが、今度は副長官として官邸に戻った。佐藤氏は高市首相と同じ奈良県選出である。
事務の官房副長官は露木康浩前警察庁長官が就いた。内閣人事局長を兼任する。石破内閣では総務事務次官を経験した佐藤文俊氏だったが、岸田内閣以来、再びの警察庁出身者となった。高市カラーの政策である「スパイ防止法」や「国家情報局」などへの対応が背景にありそうだ。
首相秘書官は、筆頭に経済産業事務次官を経験した飯田祐二氏を起用。「半導体やAIといった基幹分野を牽引できる」「バランス感覚に優れる」(省庁筋)などの評がある。
防衛省枠の有田純氏は、高市氏が経済安保担当相だった時の秘書官である。また経産省から来た香山弘文氏も、経済安保に通じた人材として知られる。高市首相を取り巻く経済安保人脈がうかがえる。
財務省からは、主計局次長で社会保障担当の主計官だった吉野維一郎氏。石破内閣に引き続き、厚生労働省からも起用され、矢田貝泰之氏が務める。高市氏は「責任ある積極財政」を訴え、多額の財源を要する社会保障について、超党派による会議体の設置を提唱してきた。実際、社会保障費は、国家予算のうち大きな割合を占めている。野党の激しい追及を受けることも多い。国会論戦の鬼門であり、手厚い対応が求められる。
内閣官房参与には、第2次安倍政権で政務の首相秘書官を務めた経産省OBの今井尚哉氏を起用した。長期政権を築いたエッセンスが伝えられる。
なお、官邸には経産省、防衛省の各事務次官経験者、警察庁長官経験者が揃った。この3官庁の影響が濃くなりそうだ。
高市首相は21日の記者会見で「強い日本をつくるため、絶対に諦めない。1度ならず、2度敗れても、自民党総裁になることを諦めなかった」と述べた。その執念が、高支持率で発足した「高市劇場」を、期待感そのままに推移させることができるのか。臨時国会の与野党論戦は、固唾をのむ展開となりそうだ。
【前編】では、小泉進次郎防衛相や林芳正総務相など、自民党総裁選を戦ったライバルたちの起用の意味について分析している。





