「小野田紀美」「片山さつき」の起用は“突破力と軋轢が背中合わせ”か…保守色が基調「高市内閣」の分析

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官邸に木原色が

 女性閣僚が2人に収まったことと反比例するように、保守系の中堅・若手が着実に閣僚の座を射止めた。その一人、木原稔官房長官は、彗星のように現れて政権の枢要を占めた。これまで防衛政務官、国家安全保障担当の首相補佐官、そして防衛相を務めた。長身を折るように話す、丁寧な物腰の政治家である。

 官邸では首相補佐官として元自衛隊幹部の尾上定正氏が就いた。これまで警察庁出身者が務めてきた内閣危機管理監に、増田和夫前防衛事務次官が抜擢された。官邸が早くも木原色に染まりつつある。木原氏は、高市首相が党政調会長時代、政策取りまとめの要となる事務局長を務めるなど、首相とは以前からタッグを組んできた。

 地方創生担当、こども政策担当相の黄川田仁志氏は、先の総裁選で高市陣営の中核を担った。高市氏と同じ松下政経塾の出身で、海洋安全保障などに注力してきたホープである。同時に日本社会の良さを生かした弱者救済を掲げる。一方、高市氏の記者会見で司会を務めた際に「顔が濃い」と容姿を挙げて指名し、物議を醸したことがあった。

 このほか、文部科学相の松本洋平、デジタル相の松本尚、経済安保担当相から経済財政担当相となって閣内に残留した城内実各氏らが、中堅・若手の保守人脈からの起用と言える。こうした閣僚の中には、論客と言うより、朴訥とした語り口が印象に残るタイプの政治家も目立つ。

 生活格差是正や福祉、介護などを前面に押し出す保守系人脈の新閣僚も多い。これらは従来、個人の権利を守るべきとするリベラル系の看板政策であった。これに対し、保守派は、伝統的な地域社会といった共同体や絆を重視し、暮らしを守ることにつなげようとする。

 人口減少や高齢化、常態化した物価高といった日本社会の現状を直視した時、保守回帰という現象が起きているならば、貧困対策や生活格差についても保守派によるアプローチが存在感を増しつつあるとの仮説が成り立つ。

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