党内議員からも異論噴出 維新を「大阪回帰」に舵を切らせた“いち民間人”と吉村代表の“本心”

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「副首都構想を前面に打ち出すやり方ではシュリンクしてしまう」

 また、足元の地方議員からも怨嗟の声が。

「急転直下でこんなことになってしまって、地方議員の中には不満を持っている人も多いです。ここまで身を切る改革を頑張ってやってきたのに、身を切らない党と一緒にやるっていうのは受け入れがたいです」(大阪維新の会所属の地方議員の一人)

 今年9月に日本維新の会へ離党届を提出し、除名処分となった衆院議員の斉木武志氏は、

「7月の参院選に負けてから党内で連立入りの動きを感じるようになりました」

 と、明かす。

「当時、維新は衆院選、参院選と2連敗している状況でした。参院選では、『社会保険料の引き下げ』を公約の柱として掲げて負けました。全国民に関わりのある公約を掲げたけれど負けてしまった。そこで維新としては大阪に利益誘導するコース、つまり“大阪を副首都に”という、維新のまさに1丁目1番地の政策を訴えて党勢回復をしていこう、となったわけです」

 斉木氏と先の松沢氏は今年8月、維新の共同代表だった前原誠司氏の後任となる国会議員団長を決める選挙に挑み、藤田氏に敗れている。

「副首都構想を前面に打ち出すやり方では大阪にシュリンクしていき、全国政党として生き残っていくことはできない。そこで私は『大阪に戻っていく路線ではなく、全国政党として物価高対策などを訴えるべきだ』と主張して選挙を戦いました。これに対して藤田さんや吉村さんのやり方は、大阪に特化し、そのために国を使っていく、というもの。副首都構想を可決させるための路線です」(同)

吉村代表の頭の中にある「壮大なシナリオ」とは

 つまりは「大阪回帰」。それは、代表である吉村氏自らが考えた方針なのか。

「維新の創設者である橋下徹さんは今年7月、テレビ番組で『(維新は)連立した上で副首都構想を実現してほしい』と発言しました。『大阪回帰』の方針や、今回の連立の話は、橋下さんが言い出してから吉村さんが動き始めているように見えます」(大阪府政関係者)

 橋下氏は15年、維新の政策の核である「大阪都構想」の是非を問う住民投票が「否決」との結果となったことを受けて政界を引退。その後は“いち民間人”であることを強調してテレビ番組のコメンテーターなどとして活躍しているが、Xでの発言を検証すると、他党に比べて維新に関するものが圧倒的に多いことが分かる。

 日本維新の会・元政調会長の音喜多駿氏(42)は、

「党内における橋下さんの影響力は今も間違いなくありますよ。彼は執行部の中にいるわけではないし、顧問として会議に出席するわけでもありません。しかし、『橋下シンパ』という、橋下さんを尊敬している議員が、国会議員にも地方議員にも多数存在するのです」

 として、こう語る。

「橋下さんがテレビ番組やSNSで何か発言すると、そうした『橋下シンパ』の議員たちが党内の会議やSNSなどでその意見を代弁して発信するわけです。内側から意見集約する際、彼らを無視するわけにはいかないため、橋下さんの一挙手一投足が、明らかに党の意思決定に影響を与えている、と言えます。この『橋下シンパ』の多くは大阪の議員です」

 日本維新の会のさる国会議員によると、党内の「橋下シンパ」の最たる存在は、

「やはり吉村さんです。橋下さんの影響を強く受けており、師弟関係に近いものがあるんじゃないでしょうか。その吉村さんは副首都構想と大阪都構想を実現し、“勝ち逃げ”を考えているのでは」

 と話す。

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〈【“党消滅”のリスクを顧みず連立入りに走った維新 背景には今も残る“創設者”の影響力と「吉村代表」が今は絶対に明かせない“本心”があった】では、15年前に大阪で生まれた維新が連立入りにひた走った理由や、創設者・橋下徹氏が現在の維新に与える影響力について。そして「党消滅もある」と言う吉村洋文代表が胸に秘める“本心”について。維新の現役国会議員をはじめとする関係者の証言をもとに、5000字にわたり詳報している〉

デイリー新潮編集部

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