党内議員からも異論噴出 維新を「大阪回帰」に舵を切らせた“いち民間人”と吉村代表の“本心”
10月21日に召集された第219臨時国会で、自民党の高市早苗総裁が第104代首相に選出された。世間が女性初の首相の動向に注目を集める中、政界関係者の関心が向くのが、自民党との連立政権樹立に正式合意した「日本維新の会」の今後の立ち回りだ。吉村洋文代表自身、「党消滅もある」と話すが既に党内には執行部の方針に首を傾げる議員も――。
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※本稿は「週刊新潮」2025年10月30日号掲載【「日本維新の会」研究 「党消滅もある」吉村洋文代表の今は絶対明かせない本心】の一部を抜粋/編集したものです。
閣外協力では結局「腰砕け」
10月20日、国会内で連立政権樹立に向けた合意書に署名した自民党の高市早苗総裁と日本維新の会の吉村洋文代表。安堵したような顔が印象的だった高市氏に対し、吉村氏は終始引き締まった表情で合意書に万年筆を走らせていた。
2010年に源流である地域政党「大阪維新の会」が結党されてから15年を経て、ついに連立与党入りした日本維新の会。合意書への署名の前日に行われた常任役員会では、
「国政の動きに対し、吉村代表と藤田文武共同代表に全て一任することが決まりました。閣外協力にあたっての具体的な話などは出ませんでした」(出席した常任役員の一人)
しかし、異論が全くないわけではない。
日本維新の会の参院議員、松沢成文(しげふみ)氏(67)はこう話す。
「高市さんは『閣内に入ってフルスペックで協力してほしい』と言ってきたのに、根性がないから閣僚は断ったんでしょうね。自信がないのか遠慮がちなのか。何考えてるんだろうか」
事前の政策協議で維新側が自民党に要望した12の項目のうち、特に注目を集めているのが副首都構想と議員定数削減である。
「副首都構想、これは大阪都構想を前提にしたものでしょ? だって、特別区がある都道府県しか副首都になれない、という法案の作りになっているわけですから。要するに、大阪でこの一大プロジェクトをやりたいわけだ。『絶対にやれ』と自民党に約束させて政権に入るのです。だったら、なんで『総務大臣が欲しい』と言わないの?」(同)
日本維新の会・元政調会長で、現在は国民民主党に所属する参院議員の足立康史(やすし)氏(60)も言う。
「憲法66条3項に『内閣は国会に対し連帯して責任を負う』と書いてあります。内閣に入らないというのは、責任を負わないということなんですね。吉村さんはいつも『覚悟を決める』とかカッコいい言葉を並べるんですけど、結局は腰砕け。責任を持たないというのは、いつでも逃げ出せるということです」
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