アパートの一室に囚われた10代少女 “監禁仲間”から去り際に託された「お守り」に入っていた驚愕のモノ【川奈まり子の百物語】

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ロケットの中には……

 独りになったミミさんは、A子から貰ったロケットペンダントをしげしげと観察した。

 銀色の鎖に繋がれたペンダントの本体は立体的で、小さな卵のような形をしており、開閉できる蓋が付いていた。

 蓋を開けてみたところ、中には乳白色の――。

「人間の歯が2本入っていました」

 門歯と犬歯のようだった。間違いなくA子の歯であろう。

 乳歯ではなく、永久歯で、根もとから抜けていた。

 黒ずんだ汚れがこびりついており、鼻に近づけて嗅いでみたら鉄臭かった。

 乾いた血だ。無理に引き抜かれたのかもしれないと想像するとゾッとした。

 不気味に感じたけれど、ミミさんはA子の歯を再び中にしまうと、鎖を首に掛けてペンダントを服の中に隠した。

 A子の「お守りになる」という言葉を信じることにしたのだ。

 そのとき、何処からともなく大きな音が聞こえてきた。

 パン!

 一本締めをするときのよう、両手の掌を打ち合わせたときに立つ、乾いた破裂音だった。

 音の原因は辺りには見当たらず、不思議だった。

 ほどなく帰宅した男は疲労困憊していて、すぐに寝入った。

 ***

 10代のミミさんが体験した監禁生活。そこで出会った少女から渡された、人の歯が入ったロケットペンダント。【記事後編】では、ミミさんのその後に迫る。

川奈まり子(かわな まりこ)
1967年東京生まれ。作家。怪異の体験者と場所を取材し、これまでに6,000件以上の怪異体験談を蒐集。怪談の語り部としても活動。『実話四谷怪談』(講談社)、『東京をんな語り』(角川ホラー文庫)、『八王子怪談』(竹書房怪談文庫)など著書多数。日本推理作家協会会員。怪異怪談研究会会員。2025年発売の近著は『最恐物件集 家怪』(集英社文庫8月刊/解説:神永学)、『怪談屋怪談2』(笠間書院7月刊)、『一〇八怪談 隠里』(竹書房怪談文庫6月刊)、『告白怪談 そこにいる。』(河出書房新社5月刊)、『京王沿線怪談』(共著:吉田悠軌/竹書房怪談文庫4月刊)

デイリー新潮編集部

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