生まれた我が子を「怖くて触れない」と言う夫 半年後にようやく抱っこ…これが家庭崩壊の始まりだったのか

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“才女”に優しくされて

「気づくと、僕の隣にいたのは妻の2つ後輩の莉紗さん。彼女はずっと独身で、会社始まって以来の課長職に30代半ばで就任した才女です。『先輩、あの部署に行くのは大変だと思うけど、会社的には重要視されている部署ですよ。がんばってくださいよ』と言ってくれた。莉紗と妻とはずっと連絡を取り合う仲だから、うかつなことは言えないなと思って用心していたつもりでした」

 だが気づいたら、莉紗さんに対して仕事についてはもちろんだが、さらに妻や家庭の愚痴までこぼしていた。

「私は先輩と結婚した友梨佳さんが羨ましかったんですよと、莉紗はリップサービスしてくれました。まさかと笑ったら、『私、嘘は言いません』と身を寄せてきたんです。まさかのハニトラなのかとビビりましたが、彼女がそんな卑怯な手を使うはずもない。単なる親切心からの励ましなんだと受け取りました」

 家庭での自分の存在感の薄さ、職場での自分の居場所への不安などがないまぜとなり、彼は相当、精神的に不安定になっていた。そこにもってきての莉紗さんの急激なアプローチに心は千々に乱れた。

「その日、彼女をタクシーで送っていって、そのままひとり暮らしの部屋に上がってしまった。あれから僕の運命は変わりました」

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 こうして始まった宣之さんの不倫。【記事後編】では、その後、彼が「たったひとりで暮らす」ようになったてん末を紹介している。

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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