推定患者は最大で1920万人! 知られざる腸の病「SIBO」を悪化させる“意外な”食品リストを公開

ドクター新潮 ライフ

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保険が適用されにくい問題も

 抗生剤の服用で除菌できれば問題ないのだが、一時的には効いても、元の状態に戻ることがある。

「SIBOは再発率が高いんです。発症の原因はいくつもあるのに、根本的なことが解決していないから。うちに来られる患者さんは、他の病院で治療して完治しなかった方が多いですね」

 SIBOの検査、治療に関しては、対応できる医療機関が少ないという他に制度上の課題がある。日本ではSIBOを直接評価する検査や、その治療の多くに保険が適用されにくいのだ。

「歯の治療なら、保険診療とインプラントなどの自由診療を併用することがありますが、SIBOの場合はここまでが保険診療で、この先は自由診療と明確に区切って併用することが原則できません。自費検査や治療を同時に行うと、混合診療に該当し、一部の例外を除いて、自費となります」

 このように自由診療となりやすいので、患者の費用負担が大きくなりがちだ。

 SIBOについておよその知識を得たところで、実際に患者と診断された人たちの証言を紹介する。

「夏でも分厚いソックス」

 40代女性のMさんは、約2年前から都内の病院で治療を続けている。

「20代の中頃から下痢と便秘を繰り返し、おならに悩まされていました。当時は会社の仕事が忙しくて、そのせいで体調が悪いのだと思い込んでいたんです。結婚適齢期で、男性と交際する機会はあったのですが、相手に症状を知られると嫌われると思い、積極的にはなれませんでした」

 Mさんは30代後半になってから、ネットの情報でSIBOという病名を知り、その症状が自分に当てはまることを悟ったという。

「お腹の不調もそうですけど、すごい冷え性で、夏でも分厚いソックスを履いていたり、肩凝りがひどくて、毎週整体に通ってました」

 SIBOの治療をしている病院もネットで見つけた。

「それまでは1日にコーヒーを何杯も飲んでいたし、自炊より、外食とかコンビニ弁当が多くて、憂さ晴らしはスイーツのバイキングでとか、食生活についてはあまり考えていませんでした。でも、SIBOと診断されてから、食べてはいけないものを食べ続けていたことに気付いたんです」

 彼女はSIBOの症状が顕著なときは人間関係にも影響があった、と振り返る。

「軽いうつ状態というか、日常的にネガティブな考え方しかできなくて、親しい友人に皮肉やくどい愚痴を言ったりして、距離を置かれたこともあります」

 現在は病気への対処方法が分かったおかげで、心身とも楽になった。

「保険が利かないので、毎回、1万円とか2万円とか払います。経済的には痛いですけど、整体に行かなくなったし、肌荒れも改善されたので、相殺ですね」

 Mさんは、最近マッチングアプリに登録し、腸活から婚活にシフトした。

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