推定患者は最大で1920万人! 知られざる腸の病「SIBO」を悪化させる“意外な”食品リストを公開

ドクター新潮 ライフ

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生活習慣の集大成

 SIBOを多面的に治療している東京原宿クリニックの篠原岳院長は「原因はいくつもある」と話す。

「この病気は生活習慣の集大成といえます。不適切な食生活やストレスによる慢性的な疲労、自律神経の乱れなどの全身疾患で小腸の動きが鈍くなると、大腸の細菌が小腸に逆流しやすくなります。また、胃酸が減少することで、小腸に侵入する細菌への抑制力が低下し、増殖を許してしまいます」

 他にも抗生物質の乱用や胆汁の分泌低下、ピロリ菌感染、盲腸や腸の手術による回盲弁の損傷など、複合的な要因が重なり、SIBOを発症するという。

「脳腸相関という言葉がありますが、腸と脳はお互いに影響し合っていて、腸の状態が悪いと精神面も悪化するし、その逆も真です。どちらが先かは患者さんによって異なります」

 同じ腸の病気でも、よく知られているのは、現代病ともいわれるIBS(過敏性腸症候群)で、主にストレスが原因となり、腹痛や下痢、便秘をきたす機能性の疾患である。

どんな検査を受ければいい?

 日本国内におけるIBSの患者数は人口の10~20%とされるので、約1200万~2400万人。では、SIBOの患者はどのくらいいるのだろう。

「データがないので、正確な数字は分かりませんが、IBS患者の約3割から8割がSIBOを合併しているという報告があります」

 仮に3割の合併なら約360万~720万人。8割なら、約960万~1920万人に達する。

 まず、SIBOを発症しているか否かを判断するためには、どんな検査を受ければいいのだろうか。

「よく使われているのが呼気ガス検査で、乳糖またはブドウ糖を服用した後に、吐く息に含まれる水素ガス、メタンガスの濃度を数回測定します。ただ、この検査ではどの種類の細菌が増えているのか特定できないので、うちでは補助的に用いています」

 同クリニックが主に行うのは便サンプルから腸内細菌のDNAを調べ、菌種ごとのバランスや病原菌、カビの有無を判定する便中細菌叢解析という検査と、尿中に排出される有機酸を分析して、ビタミンや腸内環境の状態を評価する尿中有機酸検査(OAT)である。

「SIBOと診断されたときには、リファキシミン(抗菌薬)やメトロニダゾール(抗原虫剤)などの抗生剤による除菌治療が行われるのが一般的です」

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