東大院生として初めて“箱根駅伝”を走った男が明かす「魔物に出会った瞬間」

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速く走るための研究を続けたい

「今はマラソンの集団を真上から見た時の形や構造、ランナーが速く走るための集団内のポジショニングについての研究を重ねています。ランナーが空気抵抗を減らすために人の後方を走る戦術は一般的になりましたが、かといって集団の一番後方がベストポジションではないようで……。現時点ではまだ結論は出ていませんが、少しでも速く走れるようなメカニズムを見つけられたらなと思っています」

 そして、競技においても今年3月の東京マラソンで、2時間14分36秒の自己ベストを記録。全体49位、出走した学生に限ると、堂々1位の成績でレースを終え、存在感を示した。

「箱根駅伝に出場し、少し気持ちが落ち着くのかと思いきや、むしろ練習量は増えていて、今でも毎日欠かさずに20kmくらいは走っているんですよ」

 そう語る古川氏が見据える次の目標は、フルマラソンを2時間9分49秒以内で完走し、“世界最速の博士ランナー”になることだという。

「今年出した自己ベストから5分ほどタイムを縮める必要がありますが、既に手応えは感じているので、しっかり練習を積んで、目標に近づけたらなと思っています」

 研究と競技の双方から理想の走りを追い求める古川氏の活躍が、34年ぶりの世界陸上開催で盛り上がりを見せた日本陸上界の光となる日も、そう遠くはないかもしれない。

 第1回【29歳で箱根駅伝に出場した「東大院生」の浪人時代…「1日10時間の猛勉強を支えた息抜きが毎晩のランニングでした」】では、東大院生として初めて箱根駅伝に出場した古川大晃選手が、いかにしてランナーとしての道を歩んできたのか、自らの青春時代を語っています。

ライター・白鳥純一

デイリー新潮編集部

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