大逆転の立役者「麻生太郎氏(85)」頼みこそが最大のリスク…「高市総裁」を待ち受ける“短命政権”の可能性
1992年1月、自民党は党大会で党員数を発表した。それによると党員546万人は史上最多だったという。自民党の党員数は変動が激しく注意が必要だが、それでも80年代や90年代は平均して約300万人の党員を擁していた。92年の党大会から30年以上の時が流れ、自民党が今年9月に発表した党員数は91万5574人だった。(全2回の第1回)
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1992年7月に行われた参院選の有権者数は9325万人。これから自民党員546万人の割合を算出すると5・85%となる。
一方、今年7月に行われた参院選の有権者数は1億359万人。同じように自民党員91万人の割合を算出すると0・87%に過ぎない。
自民党は党総裁選挙の投開票を10月4日に行い、高市早苗氏(64)が新総裁に選ばれた。まだ首班指名も組閣も行われていない段階だが、公明党が自民党との連立を離脱したこともあり、早くも高市氏は厳しい状況に直面している。
「公明党が離脱する前から、高市さんに対する批判の声は相当なものがありました。1つ目は総裁選の“正当性”です。自民党員は数が減っているだけでなく、60代の男性が多数を占めるなど、母集団に著しい偏りがあります。90年代のように党員数が多く、年齢層にも広がりがあれば、高市さんが選ばれたのかどうかは分からないという論点です。2つ目は麻生太郎氏(85)の“院政”です。自民党は10月7日に臨時総務会を開き、執行部人事を発表しました。麻生太郎さんが副総裁に返り咲き、その義弟で首相を務めた鈴木善幸氏の息子である鈴木俊一氏(72)が幹事長に就任しました。その顔ぶれから高市政権は“第2次麻生政権”だと評され、この言葉はXのトレンドワードになったのです」
党員の水増し問題
3点目は萩生田光一氏(62)を幹事長代行に任命したことだ。萩生田氏は代表的な“裏金議員”である。秘書が政治資金規正法違反(虚偽記載)罪で略式起訴され、罰金30万円、公民権停止3年の略式命令が下った。
「10月8日以降、ワイドショーは基本的に、コメンテーターの識者や芸能人が麻生さんの復権により旧態依然とした自民党が復活すると危惧し、政治とカネの問題で自民党を見離した有権者はさらに怒るのではないかと疑問を投げかけてきました。確かに自民党に批判的な有権者は、麻生さんの復権を快く思っていないでしょう。10月10日には公明党が政治とカネの問題を理由に自民党との連立政権から離脱する方針を明らかにしました。こうした厳しい状況にあって、自民党の支持者や、以前は自民党に投票していた有権者が高市総裁による“第2次麻生政権”をどう評価するか、注目が集まっています」(同・記者)
選挙コンサルタントの鈴鹿久美子氏は「今回の総裁選も現場で取材を重ねましたが、改めて昭和の時代の総裁選とは全く変わってしまったと実感しました」と言う。
「昭和の総裁選は党員の数も多く、派閥は鉄の結束を誇っていました。票読みは正確で、自民党の代表を決めるシステムとしては、それなりに機能していたと思います。しかし、今の自民党は党員の減少に苦しんでいます。党員1人に対して1票というのは通常の選挙権と同じですが、勝利に寄与することが出来る党員の囲い込みが可能な点で、株主総会の議決権に近い性質を持っているのではないでしょうか。党員獲得のノルマに苦しんでいる国会議員、その秘書もいると考えて間違いありません」
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