大逆転の立役者「麻生太郎氏(85)」頼みこそが最大のリスク…「高市総裁」を待ち受ける“短命政権”の可能性
脆弱な権力基盤
鈴鹿氏は「現場を回ると、総裁選は最後まで数が読めない選挙だということがよく分かります」と言う。
「そもそも自民党総裁選は公職選挙法とは無関係です。たとえ投票を巡って贈収賄が行われたとしても逮捕されることはありません。昨年11月には富山1区が選挙区である自民党の田畑裕明・衆議院議員が党員を水増ししていた問題が発覚しました。党員票が党の実情を表しているのかも分からないと思っています。国会議員も、裏切りや引き剥がし、それに対する密告などが横行する大混乱状態で、派閥が解体されるとこれほど緩むのかと驚きました。こうした現場の実情から何が読み解けるのかと言えば、高市さんの権力基盤は外から見えるより脆弱だということです」
権力基盤が脆弱な高市氏が勝利した理由の一つとして、小泉進次郎氏(44)陣営の“油断”や“慢心”を挙げる声も少なくない。鈴鹿氏はこう言う。
「小泉陣営は朗らかな笑顔の見える、公明正大な生徒会の選挙のような潔さ、清々しさがありました。一方の高市陣営は、崖っぷちの危機感からか、執念や怨念のような感情をむき出しにした鬼気迫るものがありました。小泉さんの“敵失”も重なり、高市さんは総裁の座を手中にしたわけですが、その権力基盤が脆弱であることはご自身が一番、分かっていると思います。そのため全面的に麻生さんに従うしかないと決断されたのでしょう」
麻生氏頼みの政権運営
鈴鹿氏は「かつて、第2次安倍政権はスタートダッシュに成功しました。それは麻生さんが党内をまとめたことも大きかったのです」と言う。
「高市さんは間近で、安倍さんと麻生さんの協力関係を見ていました。さらに第2次安倍政権は発足当初は保守的な政策を抑え、“アベノミクス”で景気回復に注力しました。高市さんもこれを踏襲するに違いありません。最優先の課題は物価高対策とし、保守的な政策は後回しにするでしょう。とにかく安全運転に徹し、マスコミには常に笑顔で接するというわけです。そして次の総選挙で落選した旧安倍派議員の再選に全力を尽くし、復活当選させて自身の権力基盤を固めるというシナリオを描いているのではないでしょうか」
麻生氏に対する有権者の批判をメディアが報じても、高市氏が方針を変えることはなさそうだ。しかし高市氏の狙い通りに事態が進むか否かは分からないという。
「麻生さんだけが頼りという政権運営も危ういものがあると言わざるを得ません。お元気そうにお見受けしますが麻生さんは85歳です。ご年齢を考えると、健康上の小さな出来事が高市政権に大きなダメージを与える危険性も否定はできません。何らかの原因で麻生さんという“重石”が外れれば、反高市派の自民党議員は勢いを得ます。このことだけでも高市さんの政権運営は薄氷を踏むようなものであることが分かります。最悪のケースでは短命政権で終わっても不思議はないと考えています」(同・鈴鹿氏)
公明党が“決断”した理由
高市氏の権力基盤が脆弱だったため、公明党は連立離脱のカードを切った──こんな可能性も考えてしまう人も少なくないのではないか。
だが鈴鹿氏は「公明党が、勝負をかけたのは、高市氏の政策的立ち位置と政治家を含む支持層が極端に右寄りだからだと考えます」と否定的だ。
第2回【なぜか女性の識者は「高市早苗氏」に手厳しいが…選挙のプロが「むしろ高市さんを応援する女性は少なくないのでは」と指摘する理由】では、女性識者が「女性有権者は高市氏を支持しない」と指摘する理由と、実際に女性有権者はどう受け止めているか、お伝えする──。
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