「見た目は質素なのに、研究中はギラギラして…」 ノーベル賞受賞・坂口教授を支えた“ラボママ”との出会い
夫婦二人三脚での快挙だった。米国の2研究者と共に過剰な免疫を抑制する「制御性T細胞」の発見で、2025年ノーベル生理学・医学賞に輝いた大阪大の坂口志文(しもん)特任教授(74)。がんや自己免疫疾患など新たな治療法の開発に道を開いた功績が評価された。
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無給で実験
ここまでの道程は、それは逆風だった。京都大学医学部時代、病理学教室に属し、免疫に興味を抱く。免疫が細菌やウイルスなどを撃退する一方、何かの拍子に自身の細胞を攻撃する。一体どう区別しているのか……。
「当時の医学界は、免疫を抑える細胞などは存在しないというのが常識で、同大大学院に進んだものの中退。この分野を研究する愛知県がんセンターに移り、無給のまま実験にいそしんだそうです」(社会部デスク)
そこで出会ったのが妻の教子(のりこ)さん(71)だった。1977年、夏休み期間中の研究室で見学会が開かれた際、名古屋市立大医学生の教子さんが訪れ、それが縁で距離を縮め、結婚。
「見た目は質素なのに研究中に見せる坂口さんのギラギラしたところに引かれたと聞きました」(同)
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