「糖質ゼロ」「ノンカフェイン」表示がOKに 「紅麹問題」から1年半「機能性表示食品」の“規制緩和”は何をもたらすのか

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ハーブティーに含まれる“発がん物質”

 また、一般の食品との境目が曖昧なものとしてはハーブティーなども挙げられます。ハーブティーは健康志向の人をはじめとして人気があり、機能性表示食品の中にもいくつか見られます。しかし、「ハーブ」と言っても実際にどんな植物が入っているかわからない商品も多く、色々な植物をブレンドしたハーブティーもあります。 

 ここで問題になってくるのが、マメ科・キク科・ムラサキ科の一部の植物に含まれるピロリジジンアルカロイド(PA)という天然の有毒成分です。このうちの不飽和PAは動物実験により遺伝毒性発がん物質であることが確認され、胎児毒性があることがわかっています。 

 PAはフキやフキノトウなどの植物にも含まれていることが知られています。これらの植物は毎日多量に食べるものではないので人体に影響が出ることはまずありません。しかし、ハーブティーなどの常飲するものでは話は別です。実際に2013年にドイツ連邦リスクアセスメント研究所が調査した結果によると、カモミールティーから相当量のPAが検出されています。 

 ハーブティーの中には「有機栽培」を宣伝する製品もあります。また、有機栽培だと雑草が生えやすく意図せずにPAを含む草が混入してしまう場合もある。色々な飲み物の選択肢の一つにする程度であれば問題はありません。しかし、ハーブの効用につられて常飲していると思わぬ落とし穴にはまることもあるのです。カフェインを気にして紅茶やコーヒーを避けてハーブティーを選ぶ子どもや妊婦さんは特に注意が必要かと思います。 

 機能性表示食品に食べて健康になるというイメージがある以上は、意図せずとも過剰量を常食・常飲してしまう可能性があります。結果として、効果がなく経済的な損失だけで済めばいいものの、場合によってはここで紹介したような人体への害が出かねません。あくまで機能性表示食品制度そのものを見直す必要があるのだろうと考えています。

デイリー新潮編集部

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