「糖質ゼロ」「ノンカフェイン」表示がOKに 「紅麹問題」から1年半「機能性表示食品」の“規制緩和”は何をもたらすのか

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 小林製薬の「紅麹問題」から1年半余り。機能性表示食品として販売されていた紅麹サプリによる健康被害が明らかになって以降は制度そのものへの非難が集まり、健康被害報告を義務化するなど制度の厳格化がすすめられた。しかし、厳格化から1年がたった先ごろ、制度は一部“規制緩和”に進んだという。内閣府の消費者委員会食品表示部会は紛糾した議論の末に機能性表示食品に「糖質ゼロ」「ノンカフェイン」といった「強調表示」を認めることで合意し、今後、消費者庁は食品表示基準の改正に向かう。「強調表示」の解禁は消費者の誤認を助長しかねないという声も上がるが規制緩和は何をもたらすのか、国立医薬品食品衛生研究所・安全情報部長を務めた畝山智香子氏に聞いた。

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 今回の食品表示基準の改正は、一般食品には認められている「砂糖不使用」「食塩無添加」「ノンカフェイン」といったマイナス方向の強調表示を機能性表示食品にも認める内容でした。

 機能性表示食品制度については、2024年3月の小林製薬の紅麹サプリによる健康被害が明るみに出て以降、世論からも非難の声は根強い。このタイミングで規制緩和することには反発も大きく、食品表示部会では解禁に反対する意見も多くみられました。

 そもそも、「砂糖不使用」「ノンカフェイン」といった今回のマイナス方向の強調表示は、これまで制度上は禁止されてきたものの、すでに市場に流通している製品にはこうした強調表示がされている製品があります。今回の規制緩和はなし崩し的に適切でない現状を追認する形になっており、規制の在り方として不健全なものと言わざるを得ません。

 加えて、今回は「含まないこと」を強調する表示についての解禁がされましたが、基本的に届け出た機能性関与成分以外の成分を「含むこと」を強調して表示することは引き続き禁止されます。ただし、ビタミンDや鉄分など特定の成分に限っては一般商品と同様に「含むこと」を表示することが許されています。 

 これは食品表示部会でも指摘されていますが、最近は機能性表示食品として「1日分のビタミン~配合」といった製品が増えています。もちろん、ビタミンを摂取することは大切でも、日常的に野菜を食べて摂取するのとサプリメントなどの形で摂取するのは訳が違います。

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