「糖質ゼロ」「ノンカフェイン」表示がOKに 「紅麹問題」から1年半「機能性表示食品」の“規制緩和”は何をもたらすのか

国内 社会

  • ブックマーク

一般食品と機能性表示食品は違う

 サプリメントは一般的に継続的・反復的に摂取するもので、さらにサプリを使う人は健康を志向していますからより大きな効果を得ようとついつい過剰に摂取してしまいがちです。野菜であれば時折少し食べ過ぎたぐらいで体に大した影響はありませんが、成分が濃縮されたサプリを過剰かつ継続的に摂取した場合は思わぬ影響が出かねない。 

 例えば、米国の政府機関・ダイエタリーサプリメントオフィスのファクトシートによると、ビタミンCやEのような抗酸化サプリメントはがん化学療法の有効性を減らす可能性や、朝食シリアルなどに添加されたビタミンなどによる過剰症のリスクなどが指摘されています。また1996年に報告された米国の喫煙者などを対象にした大規模な研究(CARET研究)では、ビタミンAは喫煙者の肺がんを有意に増加させるという結果を示しています。 

 今回の強調表示の解禁に消極的な意見には、一般的な食品と機能性表示食品の境界がわかりにくくなるというものがありました。前述の通り、一般的な食品と機能性表示食品は食習慣や摂取の動機が異なり、同じように扱うのには無理があります。これは日常的に摂取している成分であっても同様です。 

 例えば、ウコン(ターメリック)です。ウコンはスパイスとして様々な料理に使用される一方、アルコールの分解を促して肝機能の強化を謳うサプリとしても一般的に販売されています。ウコンの成分であるクルクミンは食品添加物としても用いられ、その許容1日摂取量は3mg/kg体重/日ですが、これを超える量を含むサプリも見られます。 

 ウコンは日常的にスパイスなどで摂取するから大丈夫だろうと思いがちですが、各国の研究や規制状況を見ると安心できません。オーストラリア医療製品規制庁の発表によると、2023年までにターメリックを含む製品を使用して肝臓に問題が生じた例は18件あり、うち9例はターメリックそのものが肝障害の原因であると強く示唆されています。イタリアでも2018年から2019年に急性胆汁うっ滞性肝炎の事例が報告され、肝臓や胆のうの機能に問題がある人はサプリを使用しないよう表示することが定められています。

次ページ:ハーブティーに含まれる“発がん物質”

前へ 1 2 3 次へ

[2/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。