「ノーベル賞」を同時受賞した“日本の研究者4人”若き日の秘話 「神様じゃないかと思った」「従兄弟同士で切磋琢磨」
近しい人々が見た4人の若き日
2008年10月、日本はノーベル賞に沸いた。南部陽一郎氏（2015年没、享年94）と小林誠氏（81）、益川敏英氏（2021年没、享年81）が物理学賞を、下村脩氏（2018年没。享年90）が化学賞を受賞するという快挙。日本の研究者4人の同時受賞は初であり、同時受賞者数は現在までのトップである。栄誉を称えると同時に、学ぶこと、考え続けることの重要性を再認識したという人も多かっただろう。
世界に誇るノーベル賞受賞者の頭脳とはいえ、一朝一夕で成熟したわけではない。それぞれに育った環境が違えば、個性も4者4様。彼らはその若き日に、どのような教育を受けて日々を過ごしたのか。当時の「週刊新潮」は4人の若き日を徹底取材していた。第1回は南部陽一郎氏と小林誠氏について、ご本人や同級生、親族らの貴重な証言をお届けする。
（全2回の第1回：以下、「週刊新潮」2008年10月23日「『ノーベル賞学者』4人はこんな『家庭教育』を受けていた」を再編集しました。文中の年齢、肩書等は掲載当時のものです）
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【写真】ノーベル賞「日本出身」受賞者は29人、団体は1…新たな栄誉は生まれるか
先生は「俺に訊かずに南部に訊け」と
受賞者の中で最高齢、素粒子の研究で物理学賞を受けた米シカゴ大学名誉教授の南部陽一郎氏（87）は、東京生まれだが16歳までを福井県福井市で過ごした。
祖父は市内で仏壇店を営んでいた。父親は東京で職に就いていたが、関東大震災で郷里に戻り、福井高等女学校で英語の教師をしていた。南部氏は、市内の尋常小学校から旧制福井中学に進む。すでにその頃から、天才の誉れが高かった。
「福井中学ではずっとトップの成績でした」
と振り返るのは、同級生の野路寅雄氏。
「英語の先生などは、“わからないことがあったら俺に訊かずに南部に訊け”と言っていたくらい。そして5年で卒業のところ、飛び級となり4年で一高に進んだ。だから卒業アルバムに彼は載っていません。性格は大人しくて真面目ですが、ガリ勉ではなかった。確かに、お父さんは教育熱心だったかもしれませんが、“勉強しろ”とは一度も言われなかったそうですよ」
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