かつては東大、早慶を蹴って“創価大”に入学する若者も珍しくなかったが…創価女子短大「募集停止」で創価大はどうなるのか
第1回【公明党の惨敗を“自分たちの責任”と考える学会員はどれほどいるのか? 創価大卒ジャーナリストが語る「創価学会が公明党を見限る日」】からの続き。創価大学と防衛大学校――。一見、何の接点も見出せないこれらふたつの大学。だが聞けば納得する共通点がいくつも見出せる。【秋山謙一郎/ジャーナリスト】(全3回の第2回)
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【写真】創価大学出身の芸能人“二大巨頭”と、減少に歯止めがかからない公明党の“比例代表”獲得票数
創価学会と自衛隊、双方の組織でエリートを育むことを期待された大学が抱える悩みをこれから紐解いていく。
時として「仏の軍勢」と称する宗教界のガリバーと、武器使用が認められた本物の実力組織である自衛隊。これら両者が持つ課題がまるで相似形のように浮かび上がってくる。
公称827万世帯、人口にして約2043万人、日本の人口6人に1人を占めるという巨大組織である創価学会。その「永遠の指導者」である池田大作の手で創立されたのが創価大学(東京都八王子市)だ。
学会員たちの間では、「創大(そうだい)卒」という経歴は、東大卒をはるかに凌ぐインパクトがある。
とある熱心な学会婦人部員曰く、「東大は勉強しさえすれば入れる。でも創大は使命がなければ入れない」からだそう。だからか毎年のように東大や早慶といった有名校に合格しながら、これを蹴って“創大入学”をする者もいるくらいだ。
やはり学会という世界では、言うまでもなく東大よりも“創大卒”が幅を利かす。
たとえば東大卒と創大卒の新卒22歳が地元へUターン就職、地元学会組織に属したとしよう。学会の最前線は「地区」と呼ばれる丁目単位の組織だ。
そこで、長らく地元で活動してきたベテランはもちろん、同い年の東大卒もさしおいて「地区リーダー」などの役職を任されるのは“創大卒”と見るのが学会内部では当然のことである。
創大卒業生に“修練の機会”
多くの学会員にとって“創大卒”とは、「池田先生の直弟子である」「信心と学問を創価の庭で学んできた人」という意識だ。期待は大きい。
ゆえに地元の学会組織では「早く自分たちの地区を引っ張っていって欲しい」との思いから、若い“創大卒”には、将来、学会の押しも押されもせぬ指導者となるべく修練の機会を与える。
入会の勧誘、機関紙の拡張、学会員からの相談受けといった主に役職者が担うそれだ。また、特に役職に就いていなくとも“創大卒”なら、これらへの同席を促すこともあるという。
この学会エリートの育て方は、まさに自衛隊のそれと同じだ。陸海空3自衛隊、約22万人組織の最前線を取り仕切る若きエリート。なかでも黄金コースを歩む主流派と誰もが目す“防大卒”は、20代前半にして小部隊の長として部下を率いる。あるいは専門性の高い異なるパートの責任者をいくつか経験、未来の幹部としての研鑽を積む。
もちろん自衛隊のなかでは“防大卒”への期待は高い。だから23歳の防大出身の新人が部隊に配属されたとなると階級の上下を問わず、周囲は、「本人が将来困らないように」と仕事の進め方、部下隊員が考えていること、人との接し方まで丁寧に教えていく。
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