「無理やりトイレに連れ込まれて10分以上激痛が…」 9歳の頃“2つ年上の男の子”から受けた「性暴力」から23歳男性が今も立ち直れない理由

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一部の卑猥な行為については目の前で認めて謝罪した

 その時録音されたデータには緊迫したやりとりが残っている。下記はその一部だ。

Aさん「Bからすれば10年以上前の話かもしれないが、俺がこう言う精神的な症状に現れたのって、今年(2024年)の3月に入ってからなんだ。そこから精神科に通うようになっちゃって。そこで渡される薬っていうのも、飲んだら飲んだ分、副作用があって。そういう状況だから、(被害を母親や弁護士に)話さざるを得なかったんだよね。それで今ここに来てもらった」

B「はい、すみませんでした…」

 冷静に話すAさんの前で、Bは小声で繰り返しこう謝罪はするが、加害内容の詳細については「覚えていないんです」を繰り返す。

 母親も冷静に「全部、覚えていないの?」と、さまざまな練習場や宿泊施設の固有名を挙げながらいくつかの被害について聞いていく。Bは「すみません、否定しているわけじゃないですが、それも覚えていなくて…。否定しているわけじゃなくて…」としどろもどろに答えていたが、やがて一部の性加害については認めた。

B「キャンプ場だったかは覚えていないのですが、トイレに2人で入って、(Aさんの)陰部を触ったりした記憶はあって…、それは僕の弁護士さんの方にも伝えています」

母親「パンツを下げたことは認めたけれども、子供の冗談のように性器を引っ張ったということしか言っていないと(弁護士からは)と聞いている。性器を挿入するというのは一回もないと」

B「本当に嘘をついているわけじゃなくて、本当に正直に話したいんですが、性器を挿入したことは覚えていないんです。パンツを下げて陰部を触ったりは度の過ぎていることで、そういうひどいことをしてしまった自分を否定しきれない自分がいるのも事実です」

母親「性器は舐めさせたの? 性器を入れたのは覚えていなくても、精子を舐めろという行為は何回もやっているけど、それはやった?」

B「それも…。その発言をしたのかは覚えていませんが、練習場のトイレで性器を舐めさせたりしたようなことは覚えています」

 性器の挿入については最後まで口に出して認めようとはしなかったが、友人に「男らしくやったことは認めろ」と問い詰められるうちに、結局、Aさんが用意した、被害の詳細が書かれた9項目全てに筆記具でマルをつけるところまでのやり取りが録音データには記録されていた。

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