「無理やりトイレに連れ込まれて10分以上激痛が…」 9歳の頃“2つ年上の男の子”から受けた「性暴力」から23歳男性が今も立ち直れない理由

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 9歳の頃、一緒にスポーツをしていた2歳年上の男性から性暴力を受けたことが原因でPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症した23歳男性の告白第2回。ジャニーズ報道をきっかけに幼少期に受けた性暴力の記憶が蘇ったAさんは、加害者のBと向き合う決意をした。(全3回の2回)

 第1回【9歳の頃“2つ年上の男の子”からトイレに連れ込まれ…性暴力のトラウマに苦しむ23歳男性の告白「記憶の封印を解いたのはジャニーズ報道でした」】からの続き

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「私のせいだ」と母親は号泣した

 本当は墓場まで持って行きたかったおぞましい過去だった。

 9歳の頃から約2年間、ある五輪競技スポーツの練習場や宿泊施設のトイレなどで、当時11歳だったBから受けた数々の性暴力。あまりに強烈な経験だったため、Aさんは誰にも言わずに心の中に記憶を封印してきた。だが、昨年3月、ジャニーズ報道をきっかけに激しいフラッシュバックに苛まされるようになり、一人では抱えきれないと判断。母親に全てを打ち明けた。

「母親は号泣し、被害に気づかないままBと練習させ続けたことを詫びました。そして精神科に通いながら、弁護士を入れてBに謝罪を要求していくことになりました」

 裁判を起こすことも検討したが、弁護士は、被害行為が10年以上も前の話で、かつ密室内での出来事で証拠が不十分なことから、示談に持っていくことを勧めてきた。

「僕としては、Bが自分の犯した罪を認め、ちゃんと謝罪してくれるならば示談で構わなかった。弁護士と相談し、慰謝料として600万円を請求することになりましたが、お金が目的だったわけではありません。とにかく謝罪が欲しかった。PTSDに苦しめられている身としては生きるか死ぬかの問題であり、被害事実を確定させ、心を怒りから解放させるためにはどうしても謝罪が必要だったのです」

競技を楽しむ様子をSNSにアップしていた加害者

 昨年4月半ば、弁護士がBに対して慰謝料と謝罪を要求する通知を出した。半月くらい経つと、次のような返答が弁護士の元に届いた。

〈今回の通知は受け取りしっかり読んでいます。3週間以内にお支払いすることは厳しく、今後の対応について弁護士の方にも相談して検討させていただきたいです。必ずまた連絡するので、お待ちいただきたく思います。よろしくお願いします〉

 期待を持たせるような返答だったが、示談交渉は全く進まなかった。その間、Bは何事もなかったかのように競技を続け、SNSに写真をアップし続けていた。

「彼のSNSを見るたび、僕の症状はますます悪化していきました。こちらが競技に近づけないくらいの症状に苦しんでいるというのに、なぜ加害者が平気で続けられ、しかも楽しんでいる様子を誇示しているのか。母に『死なせてくれ』と懇願するようにもなりました」

 そんな最中の8月、共通の知人が間に入ってくれることになり、Bを呼び出して、Aさんと母親の4人で面談をすることになった。Bはスーツをまとい神妙な面持ちで現れたという。

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