9歳の頃“2つ年上の男の子”からトイレに連れ込まれ…性暴力のトラウマに苦しむ23歳男性の告白「記憶の封印を解いたのはジャニーズ報道でした」

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 9歳の頃、一緒にスポーツをしていた2歳年上の男児から性暴力を受けたことが原因で、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症した男性がいる。幼少期に負った、14年経っても癒えない傷とはどのようなものなのか。被害男性がフラッシュバックの苦しさを語った。(全3回の第1回)

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13年ぶりに蘇った「悪夢のような日々」 

「あの報道を見るまではなんともなかったのです」

 ある地方に在住する大学生のAさん(23)はこう振り返る。Aさんはこの1年半、幼少期に受けた性暴力のトラウマに悩まされ、精神科に通院する日々を送っている。今年3月にはPTSDで2級の障害者手帳を交付された。

 症状は、悪夢、動悸、吐き気、不眠、無気力、食欲不振。激しいフラッシュバックが続いた時は、発作が起きて、母親に止められるまで家の中で暴れてしまう。自分の体が汚れていると考えてしまい、自傷行為を繰り返し、希死念慮に苦しむ。医師から処方された薬を毎日服用しなければ、日常生活が送れない状況だ。

 追い詰められた時は、さらに恐ろしいことまで脳裏をよぎる。

「僕がこんなに苦しんでいるのにどうして加害者はのうのうと生きているんだと思うと、加害者を殺しに行きたいと思うこともあります」

 Aさんがこのような症状に苦しむようになったきっかけは、昨年3月、Xで目にしたジャニー喜多川氏による性加害報道だった。被害男性たちの生々しい告発を読み、自分も同じような被害を受けたことを思い出した。

「幼い頃、これは誰にも言えない、墓場まで持って行こうと一度は封印した過去でした。けれど、報道がきっかけでおぞましい記憶が克明に蘇ってしまったのです。それまではサークルにも入って友達とボーリングやカラオケに行ったり、青春を謳歌していたのですが、あの日以来、閉じこもりがちになり、人格までも変わってしまいました」

「Aが好きな人のことをお母さんにバラすよ」と脅され…

 当時は9歳だった。ある五輪競技をテレビでみて、自分もやってみたいと母親に頼み、練習場に通い始めた。そこで出会ったのが当時11歳だったBである。

 練習場に通い出してしばらく経つとBからの壮絶ないじめが始まった。大人の見ていないところで理由もなく殴られ、蹴られ、「やめてよ」と懇願しても続いた暴力。「お前、ブサイクだな」。「そんな用具使っていたら絶対上手くならないよ」。言葉の暴力も執拗で陰湿だった。Aさんの携帯電話を奪い、当時Aさんが好きだった女の子に卑猥なメッセージを送りつけられたりもしたという。

「Bは僕が上達していくのが気に食わなかったんだと思います」

 ある日、暴力の内容は9歳の子には想像しえない方向へと変わった。午後7時頃、練習場の休憩所で休んでいると、Bが突然、下着に手を突っ込み、肛門に指を入れてきたと振り返る。

「その後トイレの個室に連れ込まれ、下着を脱がされ、性器を触られました。逃げようとしましたが、『Aが好きな人のことをお母さんにバラすよ』『このことをお母さんにバラすぞ』と脅され、最後は性器を肛門に入れられた。体がちぎれるかのような激痛が10分以上も続きました。その時は性行為だったとはわかりませんでしたが、人には言えない気持ち悪いことをされたと思い、誰にも打ち明けられませんでした」

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