9歳の頃“2つ年上の男の子”からトイレに連れ込まれ…性暴力のトラウマに苦しむ23歳男性の告白「記憶の封印を解いたのはジャニーズ報道でした」

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1日に2回もトイレに連れて行かれたことも

 それから練習場や大会前に寄った温泉施設などのトイレに連れ込まれ、度々、性行為を強要されるようになったという。

「『ディープキスと性器を舐めるのか、どっちか選べ』と命令されたこともあります。言われた通りにやらないとトイレから出してもらえないから、仕方なく性器を舐めました。その後も急に性器を舐めてきたり、向こうが自分の手を使って射精した精液を舐めさせられたこともあります」

 被害が続いたのには、Aさんの母親にも「原因」があった。Bは両親共働きだったため、Aさんの母親はBを一緒に練習や大会に連れて行くことがあり、大会前は温泉施設などにも3人で宿泊したことも数回あった。もちろん、母親は息子が性被害にあっていたことなど露とも知らなかった。

「Bは母の前ではいい子ぶる。だから、何も知らない母はBを私の兄弟のように扱っていたのです。練習場まで3人で車に乗って向かうと、母は僕とBを残して、どこかへ行ってしまう。するとBは豹変します。母には何度も、Bと二人きりになるのは嫌だと言っていたのですが、母はBはいい子だと思い込んでいて取り合ってくれなかった。泊まりがけの時は、1日に2回もトイレに連れて行かれて襲われたこともあります。露天風呂の中で襲われたことも」

 記憶する限り、性被害は2年間で10回以上はあったという。被害が止まったのはエスカレートした暴行が露見したからだった。

「その日、練習施設の更衣室で2人きりになった時、僕はBから10分以上も殴られ蹴られるの暴行を受けていました。その現場をたまたま通りがかかった大人が目撃し、母に忠告したのです。そこで母は初めていじめの深刻さに気づき、Bと引き離してくれました。その後、Bから逃れて競技を続けていくために、僕から母に頼んで他県に引っ越しました」

Bは競技を続けていた

 それから3年くらい経つとAさんはBと再会するようになった。お互い競技で実力をつけてきて、海外の大会などで一緒になることが増えたからだ。

「『久しぶり』とBは何食わぬ顔をして近寄ってきた。こっちは、昔お前がやったことを覚えているか、と内心思っていましたが、口に出さずにやり過ごしていました」

 ナショナルチームに入るなど活躍していたAさんだったが、18歳で、選手として活動していくことに限界を感じて引退した。その後は趣味としては競技を続けていたが、今はそれも出来なくなった。Bから受けた被害がフラッシュバックするようになったからだ。

 一方、Bは今も競技を続けているという。Aさんは発症後、Bが海外の大会に出場したり、楽しそうに競技をしている写真をインスタグラムに投稿しているのを見るのが耐えられなくなった。

「以前はBが選手として活躍しようとも何の感情も持っていませんでした。ただ記憶が呼び起こされて以降は、許せなくなった。なぜ自分が競技に近づくことさえ出来なくなったのに、この男は何食わぬ顔をして過ごしているのだろうかと思うと、悔しくてしょうがないのです。当時子供だったとしても絶対に許すことはできない過去です」

 フラッシュバックが始まった数日後、Aさんはこのまま黙っていれば、Bから支配された人生を送らねばならなくなると思い詰めた。そして全てを母親に打ち明け、Bと向き合う決意をした。

 第2回【「無理やりトイレに連れ込まれて10分以上激痛が…」 9歳の頃“2つ年上の男の子”から受けた「性暴力」から23歳男性が今も立ち直れない理由】では、母子が弁護士に依頼し、Bに謝罪を要求していく際に起きた出来事について取り上げる。

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